美術展

2009年11月 3日 (火)

「絵画と写真の交差-印象派誕生の軌跡」展:名古屋市美術館

 写真の誕生は170年前のことです。タルボットが焼き増しのできるネガ・ポジ法を完成させたのは1841年のことでした。第1回の印象派展(1874年)の30年以上前のことでした。

 この展覧会では写真が印象派の画家に与えた影響と、逆に印象派が写真に与えた影響を、それぞれの作品を展示しながら説明しています。

 出品作品は約300点近くになります。ほぼ同時代の作品を絵画と写真とグループに分けて展示してあります。ドガの《踊り子》シリーズのように、写真を元に制作されたと思われる絵画はわかりやすいのですが、少数です。

 絵画はダイクに始まってブリューゲル・デューラー・ターナー・アングルからドラクロワの《オランダのアラブ人》やミレーの《男の肖像》クールベの《水平線上のスコール》などのほか、印象派前夜のコロー・クールベ・ミレー・ドービニ、そして印象派のマネ・ピサロ・シスレー・モネなどの作品。その後、ドガ・ユトリロ・ボナール・からアンディ・ウォーホルまで。

 写真と絵画の相互関係がいまいちわかりにくい展覧会でした。
 印象派を中心とする絵画と初期の写真技術に関する資料が欲しい人には貴重な展覧会です。

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名古屋市美術館

http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2009/intersection/index.html

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2009年11月 1日 (日)

若冲ワンダーランド:MIHO MUSEUM

 滋賀県甲賀市信楽町にあるMIHO MUSEUMは1997年にできました。神慈秀明会という世界救世教の分派が作った美術館です。世界各地の美術品を収集して展示しています。エジプト、ペルシャ、ガンダーラなどの彫像がに加えて今回は世界各地の収蔵品と伊藤若冲の特別展を見ました。

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バスを降りて電気自動車で美術館へ向かいました

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トンネルを抜けて                  美術館入り口へ

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若冲の作品が約40点出品されていました。残念ながら若冲の作品は制作年代が特定できる作品が少なく、大半が‘世紀’単位の表示です。

 展示作品は水墨画や版画などの地味な作品が多く、東博の《動植綵絵》30点の圧倒的な迫力に比べるとかなり地味なラインアップでした。

 目玉は新発見という《象と鯨図屏風》でしょうか。

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2009年10月29日 (木)

「古代ローマ帝国の遺産」展 付:西洋美術館常設展

 「栄光の都ローマ」と「悲劇の街ポンペイ」の二つをテーマとした展覧会です。
 ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスをはじめとするローマの偉人たちの彫像や宝飾品、貨幣など、古代ローマの栄光を物語る展示作品が約70点と、ヴェスヴィオ火山の噴火で埋もれたポンペイ出土の壁画や食器、家具、宝飾品などの遺物約50点が展示されています。

 数々の展示作品から栄華を極めたローマ帝国の権勢をしのぶことができます。多くの彫像はギリシアの様式で一部にはヘレニズムの影響が見られます。アウグストゥスの像はいずれも美化されて、実物よりも若く美しく優美に制作されているようです。

 ポンペイ出土の展示品は噴水や壁画など2000年の時間を感じさせない美しい色彩を保っています。台所や農場の道具など当時の生活を物語る品々もあります。

 《アレッツォのミネルヴァ》が特別に出展されています。ミネルヴァ=戦いの女神アテナです。青銅製の非常に美しい女性像です。紀元前3世紀にギリシアで制作されました。8年にわたる修復を終えたばかりでこの春までイタリアで特別公開が行われたということです。

 美術史上に名を残す優れた芸術品が出展されているというわけではないので、そういう意味では地味な展覧会です。近くの国立博物館の「皇室の名宝」展は入場を待つ人で長蛇の列になってますが、西洋美術館ではチケット売り場でも行列なしです。

この展覧会のHP http://roma2009.jp/index.html 

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【常設展】

 西洋美術館の常設展(9/4~12/27)は約200点が展示されており、なかなか充実しています。フラッシュを使わないなどの条件を守れば撮影が自由なので写真を撮っている人が目に付きました。何点か紹介します。

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   ロダン《考える人》           ルーベンス《眠る二人の子ども》

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  ドラクロワ《聖母の教育》              ミレアー《春 〈ダフニスとクロエ〉》

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  クールベ《罠にかかった狐》         マネ《花の中の子ども》

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     ルノワール《帽子の女》         モネ《舟遊び》

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セザンヌ《葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々》  ゴーガン《海辺に立つブルターニュの少女》 

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  ボナール《働く人々》                 ピカソ《男と女》

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2009年10月24日 (土)

今日の1枚:モネ「睡蓮」

 おなじみの「睡蓮」です。国立西洋美術館の常設展はフラッシュを使わなければ撮影自由です。いくつか撮影してきましたが今日の1枚はこれです。

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2009年10月15日 (木)

「妙心寺・:禅の心と美」展:名古屋市博物館

 臨済宗妙心寺派の大本山である京都の名刹妙心寺の700年近い歴史を物語る数々の寺宝と中部地方の妙心寺派寺院が所蔵する名宝など110点余の展示です。

 寺の創建にかかわった花園天皇や初期の高僧たちにかかわる文化財や、尊氏、信玄、伊達政宗、信長、秀吉などの武将と妙心寺との深いかかわりを物語る文化財、狩野派などの名画・名品・・いずれも見応えがあります。

 出品目録には168点ありますが、会期中にいろいろ展示替えがあるため、実際には110点ほどになります。そのうち国宝が3点と重要文化財が22点もあります。

 国宝のうちもっとも注目されるのは大巧如拙の描いた《瓢鮎図》です。鮎=ナマズです。京都・退蔵院の所蔵です。11月1日まで展示。飛鳥時代の698年鋳造の梵鐘も国宝で、これは全期間展示です。

 狩野派の絵では、探幽の《春日局像》や《山水図屏風》、元信の《瀟州八景図》(重要文化時)などがありますが、山楽の《龍虎図屏風》(重要文化財)は11月5日からの展示です。

 全体として高僧や武将の肖像。彫像などが多く、顔料が劣化して絵そものがよく見えない
作品もあって全体としてはかなり地味です。

 ‘禅の心’を静かに受け止めるつもりでそれぞれの作品に向き合えば心に響いてくるものがあるでしょう。

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この虎の絵は後期の展示です。

この展覧会のHP http://www.museum.city.nagoya.jp/kaisaityu.html

《瓢鮎図》はこのHPでご覧下さい。

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2009年10月 9日 (金)

「皇室の名宝-日本美の華」展:東京国立博物館

 なかなか見応えのある展覧会でした。北海道旅行が中止になって浜松へ帰る前の時間を使って観覧しました。入館したのが4時過ぎ、閉館が5時で1時間足らずの駆け足では十分見ることができませんでした。普通に見て少なくとも1時間半以上かかります。

 この展覧会は天皇即位20年を記念して、御物や正倉院、三の丸尚蔵館など宮内庁が所蔵する作品を展覧しています。1期と2期に分かれていて展示作品は全て入れ替えられます。

 1期(10/6~11/3)の「永徳、若冲から大観、松園まで」は第1章が「近世絵画の名品」で、狩野永徳・伊藤若冲・円山応挙・谷文晃・酒井抱一・葛飾北斎などの名画18点が出品されています。

 なんと言っても圧巻は伊藤若冲の《動植綵絵》全30幅です。若冲の最高傑作と言われるこのシリーズは本来仏画として相国寺に寄進されたものです。その全てが1室を独占してほぼ製作年代順に展示されています。全て展示されるのは1926年以来83年ぶりのことだそうです。
 若冲の絵は花、鳥、蝶、虫など何を描いても極めて精密に描写しておりその技術はまさに驚嘆すべきものです。さらに彩色は精緻を極め、ヒマワリを描いても一輪一輪の花がそれそぞれ細部は異なる表情を見せており同じものは一つもありません。朝顔も南天も鶏の羽根もすべてそうです。さらに裏彩色という技術やぼかしを駆使して微妙な色合いを巧みに表現しています。動物も植物もすべて生命を持つことが表現されています。それらの絵を近くで詳細に見ることができるまたとないチャンスです。
 《旭日鳳凰図》は《動植綵絵》に先だって制作された若冲の作品です。鳳凰の羽根の描写が実にみごとです。

 《唐獅子図屏風》は珍しい展示です。狩野永徳が描いた右隻の唐獅子はよく知られています。荒々しく力に満ちた唐獅子です。一方左隻は永徳の曾孫の狩野常信が補作したもので穏やかな表現です。桃山狩野派と江戸狩野派の様式の違いがわかります。

 酒井抱一の《花鳥12ヶ月図》もすばらしい名作です。12枚が1月から順に展示されています。

 葛飾北斎の《西瓜図》は80歳の時の作品。精密に描かれた静物画です。

2章は「近代の宮殿装飾と帝室技芸員」。
 明治時代に美術工芸作家の保護と制作の奨励を目的に設置された帝室技芸員の作品と明治宮殿をはじめとする宮殿の装飾に用いられた作品の展示です。

 絵画では横山大観の大作《朝陽霊峰》や鏑木清方の《讃春》、上村松園の《雪月花》などの名品。高村光雲などの彫刻。工芸では七宝・蒔絵・螺鈿などのほか陶磁器など初めて目にする名品の数々はまさに感嘆の連続。思わずため息がでてきます。
 絵画と合わせて80点の展示です。

 この展覧会を通じて皇室の私有物で侍従職が管理する「御物」と宮内庁が管理する所蔵品が質量ともに優れていることや2章で見られる工芸品や絵画を見ると明治以後の皇室の‘贅沢な’生活がよくわかります。

 出品されている作品の大半は文化財として極めて評価の高いものですが、御物や宮内庁管理の作品は国宝などの対象とはなりません。従って《動植綵絵》や《唐獅子図屏風》
などの超一級品も含めて今回の出品作品には国宝・重要文化財は1点もありません。

 私が入館したのは4時過ぎでしたから入場を待つ人の列はありませんでしたが、日中は朝の開館時から列ができてかなり混雑しているとのことです。《動植綵絵》だけでも30分はかけたいので時間に余裕をもってでかけることをおすすめします。

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東京国立博物館平成館                夕日の中の本館と東洋館(右)

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1期と2期で見開き4㌻のチラシ

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図録は1期2期別冊で各2000円。画像は1期の図録
左:表表紙 《唐獅子図屏風》
右:裏表紙 《動植綵絵》のうち《群鶏図》

東京国立博物館のHPhttp://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?blog_id=607925

 ここから作品一覧や展覧会のHPなどに行くことができます。主な作品の画像も見ることができますのでどうぞ。

宮内庁のHPでも主な作品の画像を見ることができます。http://www.kunaicho.go.jp/20years/touhaku/touhaku.html



  

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2009年10月 6日 (火)

秋野不矩・莊司福・・輝きの女性画家二人展

 秋野不矩(1908-2001)と莊司福(1910-2002)はほぼ同時代を生きた女流日本画家です。二人とも西洋画の手法も学び、新しい日本画を生み出しています。莊司の40代の絵には現代絵画の趣もあります。
 秋野は創造美術(現代・創美会)で、莊司は院展で活躍しました。秋野がインドに滞在したのは1962年で、以後はインドを主要な舞台として自然・寺院・廃墟などを描いた大作を制作しています。今回の出品作の中でも《オリッサの寺院》は90歳の時の作品ですが、122.0×705.0という大作です。

 莊司福も1960年代後半からインド、ネパール、エジプトなどを訪ね、着想を得て制作しています。莊司の作品には《とき》《刻》(原生》《相》など時間を表現するものが多く見られます。晩年には山や海などの雄大な自然をみごとな構成と深みのある色遣い、細やかな筆遣いで表現した完成度の高い大作を制作しています。第82回院展出品の《海峡》は87歳の時の作品ですが、158.7×239.5の大作です。

 二人とも80歳を過ぎて次々と大作に取り組んだその気力・体力・制作意欲と衰えない技術に感服です。

出品作品は秋野17点で6点が2㍍超、莊司19点で14点は2㍍を超える大作です。

この美術館の1階展示室ではスリッパを脱いで素足で鑑賞しますが、床に座ってゆっくりと大作を眺めると心が洗われるようなすてきな時間が過ぎてゆきます。

浜松市:秋野不矩美術館 11/8まで

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2009年9月30日 (水)

静岡の美術館めぐり ②「幕末浮世絵展」&「浮世絵猫づくし」展

★「幕末浮世絵展」・・静岡アートギャラリー

 江戸末期19世紀の浮世絵156点から幕末の社会・文化や庶民の生活・風俗がよく伝わってくる展覧会です。画家であり浮世絵の収集家である中右瑛氏のコレクションです。
 
 北斎の富岳三十六景7点、広重の東海道五十三次8点などの風景画、国貞の美人画や役者絵、国芳の武者絵やマジック絵など多彩です。このほか北斎戯画や貞秀の横浜絵、16点の肉筆画もあります。

 156点が12のジャンルに分かれて展示されています。数多くの作品で19世紀の浮世絵の世界をほぼ網羅している感じで見応えがあります。

 会場は静岡アートギャラリー。静岡駅南口を出たところにある25階建てのビル=サウスポット静岡の3階にある静岡市の美術館です。
 会期は10月12日まで。詳しくはHPをご覧下さい。http://www.art.shizuoka-city.or.jp/

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★「浮世絵 猫づくし」・・駿府博物館

 約100点の絵のすべてに猫が登場します。猫そのものを描いた作品はほとんどありません。広重の風景画の点景としての猫、着物に描かれた猫、猫を使った当て字、猫又伝説の猫、源氏物語や怪談話の猫・・主題の異なる絵のどこかに必ず猫が登場しています。

 江戸中期から明治初期までにかけて活躍した歌麿、広重、国貞、国芳などの著名な浮世絵師はほとんどが静岡アートギャラリーの展覧会に出品されている浮世絵師と同じです。会場の駿府博物館は静岡駅の北側です。JRを挟んで南北の美術館で浮世絵を見比べることができます。
 会期は11月3日まで

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2009年9月26日 (土)

静岡の美術館めぐり ①「狩野派の世界 2009」静岡県立美術館

 16世紀から20世紀に至る狩野派の400年の歴史を55点(前期)の出品作でたどることができます。狩野派の先祖が伊豆出身であるという説があります。また、狩野探幽は慶長17(1612)年に駿府で家康に謁見し、その5年後に幕府の御用絵師になるなど静岡は狩野派と深い関係があります。 

 静岡県立美術館では静岡と深い縁がある狩野派の作品の収集に努めており、これまでに40点を所蔵しています。今回の出品作品55点のうち25点が県立美術館の所蔵品、29点が個人蔵です。重要文化財である元信印の《富士参詣曼陀羅図》は富士山本宮浅間大社蔵です。十数点は初公開・新出作・新収蔵品です。

 時代の流れに沿って全体は4部で構成されています。

1 室町から桃山へ
  元信、永徳、山楽など。永徳の《松に叭々鳥・柳に白鷺図屏風》は近年発見された数少ない永徳の真筆作と考えられる点で貴重な作品です。見事な構図と精緻な描写がすばらしい絵でした。

2 狩野探幽とその周辺
  探幽の作品が7点など17世紀の作品です。久隅守景、英一蝶など。

3 京狩野の系譜
  山雪、永納、永良、永岳など

4 江戸狩野の展開、そして近代へ18世紀の典信、栄信から近代の狩野芳崖、橋本雅
  邦まで

 障壁画が半数以上で作品の数以上に見応えがあります。

 400年にわたって日本の画壇をリードしてきた最大画派の作品を一望することができるいい機会です。     

 静岡県立美術館で10月18日まで 主な作品は美術館HPでご覧下さい。

 http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/

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久しぶりにロダンの作品と対面してきました。

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     地獄の門                     考える人

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   厳しい姿勢です                   力の入った爪先

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2009年9月 5日 (土)

「環境フォトメッセージ展&末広五十三次展」

【-みつめる地球-環境フォトメッセージ展】 

 応募した575人全員の写真がすべて2Lサイズで展示されています。小学生の撮った写真もいろいろあり、1枚1枚の写真はありふれた風景や事象を写したものです。それぞれの写真に撮影者の環境に関する1行メッセージが添えられています。

 600枚近い写真とメッセージ全体を通じて自然を守り環境を大切にしようという全員のメッセージが伝わってきます。傑出した力量を持つ個の力によるのではなく、環境について少しでも関心を持つ多数の小さな力の集まりが大きな意味を持つ写真展です。

【末広五十三次展】

 幕末の8人の人気浮世絵師による東海道五十三次の浮世絵です。「末広」は家康の馬印が金の開き扇であり、次第に裾の方に広がっていく形が由来であるとされています。1枚1枚の絵には必ず扇が描かれ、その中に宿名が示されています。

 この浮世絵の特徴は、どの宿の絵も将軍や御家人のものものしい行列を描いていることです。箱根でも浜松でも桑名でも幕府軍の行列です。慶応元年、将軍家茂上洛の様子を描いたものとされています。広重の五十三次とは大きく趣を異にする世界です。
 浜松市美術館の館蔵品です。

 二つの展覧会は浜松市美術館で9月10日までです。 300円・70歳以上無料

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                               浜松城

                           

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2009年8月28日 (金)

土佐光起から松井冬子まで・・「名画にみる美しく咲き競う花・華」展

 花そのものを描いた作品から着物の意匠の花、そして陶器の花模様など花を題材にした日本画の作品59点・・大半は平野美術館の館蔵品です。

 古くは江戸前期の土佐派の《小野小町図》や土佐光起の《平家物語 桜町中納言図》。
明治以降は橋本雅邦・竹内栖鳳・川合玉堂・川端龍子・小野竹喬・奥村土牛・中村岳陵・伊東深水・中村貞以など日本画壇を代表する画家たちの作品が出品されています。
 伊東深水の《蛍狩》と《傘美人》は美しい女性が花柄の美しい着物を着た絵です。

 浜松出身の野島青茲(1915~1971)の作品は6点、《炎》は燃え立つような花を描いています。同じく浜松出身で現在も浜松で制作を続けている栗原幸彦(1951~ )の《妖宴》はうっすらと浮かぶ月を背景として、妖艶なボタンの花と粧蛾が描かれていて幻想的です。

 松井冬子(1974年~ )はこの美術館で個展を開くなどおなじみです。出品されている昨作品には確かに花が描かれています。作品名は《供犠の暴力》です。作者のメッセージが添えられています。

 伝統的な日本画の手法で描かれた作品が多く、花の美しさや花を愛でる日本人の心情がよく表現されています。

美術館のHPでいくつかの作品を見ることができます。http://www.hirano-museum.jp/

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2009年8月27日 (木)

「トリック・アートの世界」展・・またまた‘だまし絵’

 名古屋市美術館の「視覚の魔術 だまし絵」展をこのブログで紹介したのは6月5日のことでした。
 今回は豊橋美術博物館で始まった「トリック・アートの世界」展です。名古屋の「だまし絵」は16世紀から現代に至る幅広い作品の展示でしたが、豊橋では1960年代以降の新しい「だまし絵」の展示です。大半は高松市美術館所蔵の日本の画家の作品です。

 全体は4部に分かれています。
Ⅰ 虚と実をめぐって
  〈影〉を描く高松次郎のシリーズがメインです。影だけを描いて実体のない不思議な絵です。他に小本章や堀内正和の作品など。

Ⅱ オプ・アートとライト・アート
   河口龍夫《無限空間におけるオブジェとイメージの相互関係又は8色の球体》は箱の中 に8個の球があるのですが、見る角度によって色が違って見えたり球が無限に増えていくように見えます。そのほか伊藤隆康《負の楕円》など。

Ⅲ スーパーリアリズム
   写真よりも実物に近い精緻な表現で驚かせてくれます。
   上田薫はな〈なま玉子シリーズ〉で知られている画家ですが、《なま玉子J》《スプーンのゼリーB》などの作品が出品されています。〈なま玉子〉は割った玉子の黄身が殻から落ちてくるところを高速度カメラで撮影し、それを極めて精緻に描いたものです。
 鴫剛の《団地T&T》は団地の建物の写真を撮り=A、それをもとに絵をかいて、その絵を写真に撮ります=B。そのAとBを左右に並べてあります。見ているとなにが本当の風景なのかわからなくなってきます。
 ほかに、中川直人、三尾公三ら。

Ⅳ 古典絵画をめぐって
  古典絵画のパロディです。名古屋市美術館にも登場した福田美蘭の《陶器》はスルバランの絵のパロディです。さらに福田の《侍女ドーニャ・マリア・アウグスティーナから見た王女マルガリータ・・》は、ベラスケスの名画《ラス・メニーナス》のパロディで、ベラスケスの絵の中の人物の視線でその絵の情景を描いた不思議な作品です。ダ・ヴィンチの《聖アンナと聖母子》やボッティチェリの《春》もパロディ化されています。
 最後に登場するのは森村泰昌です。例によって自分の顔を撮った写真がゴッホの《自画像》の中に収まっています。《ポデゴン(鼻つき洋梨》は立体で、森村の鼻の造形が一つ一つの洋梨についている不思議な光景です。

主な作品は美術館の公式HPにアップされているチラシの画像でご覧ください。
http://www.toyohaku.gr.jp/bihaku/

 この展覧会は豊橋に始まって東京など全国9カ所を巡回します。

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                         左:市役所 右:美術館

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                   自分の顔を入れて撮影しましたがアップはちょっと・・

チラシです

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2009年7月29日 (水)

「愛と美の女神 ヴィーナス展」詳報

 昨日携帯から速報でアップした展覧会の詳報です。展覧会の正式名称は「愛と美の女神 ヴィーナス -ギリシア神話から現代へ-」です。

 ヴィーナスは愛と美の女神として知られていますが、ギリシア神話ではアフロディーテと呼ばれています。この展覧会ではギリシア文化を背景に制作された作品には「アフロディーテ」を、ルネサンス以降の作品には「ヴィーナス」を用いています。

 全体は5部で構成されています。
Ⅰ ヴィーナスの起源:オリエントの女神たち
 全135点のうち、最も古い物は前3100年頃のメソポタミア出土の女性像で、オリエントの女神がアフロディーテの起源であることが紹介されています。

Ⅱ ヴィーナスと神話
  ヴィーナスは海の泡から生まれたことや「パリスの審判」など女神にまつわる神話に登場する場面を描いた絵画や陶器など

Ⅲ ヴィーナスと美
  美の象徴であったヴィーナスを女性の理想像として表現してきたことや美の象徴を飾る装飾品など

Ⅳ 愛と結婚
  ヴィーナスが結婚の守護神であったことから結婚式で用いる壺や装身具、小道具など

Ⅴ ヴィーナスと信仰
  信仰の対象として崇拝されたアフロディーテ(ヴィーナス)に奉納された品々など

 出品作の中には17世紀のニコラ・プッサンの《マルスとヴィーナス》や、19世紀の風景画家カミーユ・コローの《キューピッドの翼を切るヴィーナス》、ピカソの《窓の前の彫刻家と彼のモデル》などの油彩画があります。会場の最後の所には17世紀ジョルダーノの大作《アエネアスに武具を与えるヴィーナス》があります。

 最も目を引くのは会場入り口に展示してある《アフロディーテ頭部 通称「バートレットの頭部》です。前330年後と推定され、ミロのヴィーナスよりも古いとされています。最も美しい「アフロディーテ像」です。

 ヴィーナスに焦点を当てて美の理想を追求しようとした展覧会です。作品は全てアメリカのボストン美術館の収蔵品です。

 主な作品は美術館のHPでご覧下さい。期日は11月23日までです。

http://www.nagoya-boston.or.jp/index.html

   

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2009年7月20日 (月)

「石山寺の美 展」~観音・紫式部・源氏物語~

 浜松市美術館で18日に始まった特別展です。石山寺は琵琶湖南岸の大津市にある東寺真言宗の寺院です。奈良時代の天平19(747)年に良弁僧正によって開創された古いお寺です。
 「枕草子」「蜻蛉日記」「更級日記」「和泉式部日記」多くの文学作品に登場する寺院として知られています。
 中でも有名なのは紫式部が石山寺に参籠した折りに八月十五日の名月の夜に「源氏物語」の「須磨」「明石」の巻の着想を得たと伝えられていることです。そのことから源氏物語ゆかりの寺として近代に至るまで多くの画家が源氏物語や紫式部の絵を残しています。

 約80点が出品されている中で、国宝2点、重文9点があります。国宝はいずれも墨書で奈良時代の《漢書》古写本と平安時代の《経典》です。
 重文としては、《石山寺縁起》第3巻と第7巻、白鳳時代の《観音菩薩立像》、平安時代の《増長天立像》、江戸時代の伝土佐光起《源氏物語絵巻 末摘花》その他です。

 出品作の半数以上は紫式部と源氏物語に関する作品です。絵巻・画帖・屏風・色紙など様々なスタイルで源氏の世界が描かれています。時代は室町時代から近代の堂本印象に至るまで幅があります。

 紫式部が十五夜に源氏物語の着想を得たとする観月図も数点あります。同じ主題でも表現の方法がいろいろ違うことがわかります。これらの作品から「源氏物語」の世界を楽しむことができます。

 長い歴史を持つ寺院の寺宝を集めた見応えのある展覧会です。8月23日まで。

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2009年6月20日 (土)

「最先端アートの50年-アートって何?-」展:平野美術館

 わかりにくいと言われる現代アートを45点の作品で一瞥しようという企画展です。日本の画家24人30点、外国の画家11人15点です。
 日本の画家では山口長男・猪熊弦一郎・斎藤義重・菅井汲・元永定正・白髪一雄・草間彌生・靉嘔・池田満寿夫・長岡宏・荒川修作・横尾忠則・森村泰昌・千々石修・松井冬子など。
 外国人ではオリヴィエ・デュプレ、エルズワース・ケリー、アンディ・ウォーホル、ジャスパー・ジョーンズ、ジム・ダイン、ジョエル・シャピロ、キース・ヘリングなど。

 1955年から2004年までの作品でこの50年の流れがわかるように構成されています。
ほとんどがアブストラクトで、線・面・色などを組み合わせ、油彩だけでなくシルクスクリーン・リトグラフ・銅版画・カラー写真加工など多様な技法で制作されています。

 画風や制作方法が異なる35人の画家の一つ一つの作品がアートであり、その全体が現代アートということになります。

 ポスターにもなっている森村泰昌の《石榴を持つ肖像》は19世紀イギリスの画家ロセッティの代表作である《プロセルピナ》をモチィーフにしています。プロセルピナと同じヘアスタイル、メイク、衣装の森村を撮影した写真を加工しています。

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 《プロセルピナ》    《石榴を持つ肖像》    森村が持つ石榴にも森村の顔が

松井冬子の《浄相の持続》は昨年個展に続いての登場です。

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胸から下腹部までが切り裂かれた女性が横たわっています。子宮には赤ちゃんがいます。松井冬子はこの作品について、男性に対するコンプレックスや憎悪の感情を持つ女性の感情を表現したものだと語っています。
 松井冬子は1974年静岡県森町生まれ。今もっとも注目されている日本画家です。

 出品者の中で松井の次に若いのが1971年生まれの千々石修です。日本画の画材で
水の流れを新しい感覚で表現しています。
 
 アンディ・ウォーホル《KIKU》は1983年に来日した時の3部作で、皇室の紋章である菊を鮮やかな色で描いています。

 公式HPでいくつかの作品を見ることができます。会期は7月26日までです。
http://www.hirano-museum.jp/

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2009年6月10日 (水)

「日本の“美術”の愛し方」-美への扉-展:徳川美術館 

 「美術品」という概念は近代以降に確立されたものだと言われています。「美術品」という言葉がない時代にも、優れた作品を高く評価し、作品を愛し、作者を大切に育ててきた日本独自の文化があります。

 「日本の“美術”の愛し方」という珍しいタイトルのこの展覧会は、尾張徳川家が代々所蔵している大名道具を中心に、歴代の大名やその周囲の人たちが質の高い美意識と審美眼で「美術品」を愛してきたことを4つのテーマで展示しています。

 徳川美術館は家康の遺品を中心として尾張徳川家に伝わる大名道具1万数千点を所蔵しています。国宝9件、重要文化財57件などのうち最も有名なのは《源氏物語絵巻》ですが、これは保存のため年に1回その一部を短期間だけ公開しています。今年は11月21-29日です。

 今回の企画展には約120点が出品されています。ほとんどがこの館の収蔵品です。テーマは4つです。

1 美を見いだす-青磁玩賞-
  中国の南宋ら明、清に至る中国のみごとな青磁の優品を大名たちがいかに愛したか
 ということがよくわかります。家康所有の大名物《青磁香炉 銘 千鳥》など。
2 美の創造-うつろう水を表す-
  《水の質感》では雨、川、海などの水の質感を巧みに表現した円山応挙や歌川広重な  どの絵
  《水の意匠》では波の模様などをデザインした蒔絵の箱や浴衣、羽織など
3 近世日本人の「自画像」-遊楽図屏風を中心に-
  重要文化財の《遊楽図屏風(相応寺屏風》や円山応挙の《華洛四季遊技図巻》などのほか、煙管、煙草入れ、三味線、小鼓、絵日記など江戸時代の日本人の暮らしを物語る展示です。
4 動物へのまなざし -いきいき、かわいい-
  虎、犬、象、狐、猿などの動物、鳥、昆虫などを題材とした絵、お面、香炉、置物、印籠など動物を愛した人々の思いが伝わる作品の数々

 大名家の人々が優れた「美術品」を熱烈に愛したことが伝わってくるおもしろい企画展でした。

 1-6の展示室では常設展「大名の生活と文化」・・ボランティアガイドの説明でゆっくりと見て回りました。武具・刀剣、趣味や遊びの道具、能面や装束、茶の湯など。中には国宝の《初音蒔絵硯箱》や《太刀 銘 長光》などもあります。特別公開として、《尾張徳川家五月節句飾り》が出品されています。

会期:7月12日(日)まで

HP:http://www.tokugawa-art-museum.jp/

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 徳川美術館                         徳川園                           
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      水かんな                   しょうぶ

 徳川園は尾張藩二代藩主光友が隠居所として造営したのが起源です。1889年尾張徳川家の邸宅、1931年名古屋市に寄付、その後空襲で焼失。日本庭園として再整備され2004年に開園しました。

 

 

 

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2009年6月 5日 (金)

「視覚の魔術-だまし絵」展

 日曜日には入場制限が行われるほど人気のある展覧会です。
 16世紀から現代に至る芸術家たちが、遠近法・精密描写・二重像(ダブルイメージ)など様々な技法を駆使して描いた驚嘆すべき作品100点余が展示されています。一つ一つの作品に驚きとおもしろさがあり、時間のたつのも忘れて見入ってしまいます。

 幻想美術の祖とされるアルチンボルド(16世紀)の傑作《ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)》
はダブルイメージの絵の代表的な作品です。細部を見ると一つ一つは野菜や果物なのですが、全体を見ると威厳のある皇帝の絵になっています。

 「だまし絵の帝王」ヘイスブレヒツ(17世紀)は超精密な描写で実物と見まがうばかりの作品を描きました。絵の中の人物が絵から飛び出して来るように見えたり・・実にみごとです。

 日本の画家では幕末の歌川国芳の《見かけはこはゐがとんだいゝひとだ》は男の裸体を集めて男の顔を描いています。「寄せ絵」の手法です。

 20世紀ではマグリットやエッシャーなどが心理学や幾何学を駆使して新しいだまし絵を制作しています。

 福田美蘭の《壁面5°の拡がり》は新しい手法で描かれた斬新なだまし絵で1997年の作品です。

 2日(火)の午後に鑑賞しましたがかなりの入場者で、落ち着いてゆっくり見ることはできませんでした。それぞれの絵を右から左から正面から、あるいは近くから遠くから見るので時間がかかります。

 出品された全ての絵になんらかの仕掛けがあるので、わくわくしながら見て回りました。
楽しい展覧会です。

名古屋市美術館 6月7日(日)まで

美術館のHPに主な作品の紹介がありますのでご覧ください。

http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2009/damashie/index.html

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2009年6月 3日 (水)

ゴーギャン展:名古屋ボストン美術館

   ゴーギャン畢生の大作《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》の本邦初公開が話題になっている展覧会です。

 《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》は1897-98年の制作です。このときゴーギャンは2度目のタヒチ滞在中でした。
 ゴーギャンはこの作品について次のように書いています。「我は、死を前にしての全精力を傾け、ひどい悪条件に苦しみながら、情熱をしぼってこれを描いた。」(「タヒチからの手紙」)

 ゴーギャンの最高傑作と言われるこの作品は、139×375の横長の画面に人間の生から死までの様々な場面が描かれているとされています。この絵に登場する人物はゴーギャンの過去の作品に見られるモチーフのヴァリエーションです。この絵を見つめていると、ゴーギャンが自分の全生涯を振り返るとともに、実業の世界にさよならして画家として生きることになった35歳の時から15年間の自分の画業を回顧しつつ1枚の絵で集大成を図ったのではないかという思いがしました。
 しかし、この作品は彼の最晩年の作品というわけではありません。出品されている作品の中では、《女性と白馬》が1903年の制作で、この年5月、ゴーギャンは心臓発作で亡くなっています。

 出品作品は43点で、ピサロをはじめとする画家たちとの交流が深まる中で印象派展に出品していた時代の作品、平坦な色面を組み合わせた装飾的な画面構成の作品、後半はタヒチに渡ってヨーロッパ文明とは異質の世界で情熱と人間の根源的な生き方を描いた一連の作品など、彼の画業を展望できる構成になっています。

 《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》はこの1点だけ特別のコーナーに展示されています。絵から少し離れたところに「お立ち台」があり、大きな絵の全景を眺めることができます。

 6月2日は火曜日でしたが、かなりの入場者がありました。それでもこの絵の前でしばらく立ち止まって見ることができました。

名古屋ボストン美術館 会館10周年記念 6月21日まで

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《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》

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左:《アリスカンの並木路、アルル》1888年。ゴッホと同居していた頃
右:《女性と白馬》1903年 ゴーギャンが亡くなった年

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左:ボストン美術館は金山駅から至近距離のビルの中
右:ビルの1階には美大学生による《我々は・・》のパロディ作品が

 

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2009年5月20日 (水)

魂の抒事詩-「山本丘人展」

 山本丘人(1900-1986)は近代日本画を代表する画家の一人で、戦後日本画壇のリーダーとして活躍しました。
 東京美術学校で松岡映丘に認められて師事しました。28歳で帝展に入選、30歳の時に映丘の一字を借りて丘人と号しました。1946年に日展審査員になりますが審査基準に疑念を抱いて翌年離脱。1948年に創造美術(現・創画会)を結成しました。秋野不矩も参加したこの組織は日本画の改革に力を尽くしました。1977年文化勲章。

 

 この展覧会は丘人の生誕110年を記念して秋野不矩美術館で開かれています。全体像を三章で紹介しています。

第一章 美術学校時代から40代半ばまで。平明で親近感のある叙情的な作品を制作した時期。

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 海の微風 1936年   さわやかで抒情性豊かな作品です

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  青い海 1932年   伊豆東海岸の海です。平明で明るい絵です。

第二章 信州の山岳や屹立する断崖などを取り上げて抒情性をたたえながらも力強く峻厳な雰囲気のもとに描いた時期。50代から60代半ば。

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  濤(なみ)と華  1970年      逆巻く波濤です。

第三章 剛健な画趣が後退し、やさしく優雅な雰囲気が格調高くよみがえってくる晩年までの時期。 60代後半以降。

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  夏渡る時  1979年          絶筆・未完  1983-85年

この時期の作品は夢幻の境地という趣です。

 全37点の作品とアトリエの遺品、書簡などで構成された展覧会で丘人の全体像をとらえています。

 共に活動した秋野不矩の作品7点も展示されています。

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秋野不矩美術館。初夏の木立の中でいつもと変わらないすてきなたたずまいです

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                           木立の向こうは不矩の母校二俣高校
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               館内のパネル

会期は6月7日(日)まで

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2009年5月14日 (木)

広重の世界・・六十余州名所図会展:東海道二川宿本陣資料館

   「東海道五十三次之内」で風景画師としての名声を得た広重が晩年に発表したのが、全国にわたって諸国の名所を一つずつ取り上げて制作した69枚と目次1枚から成る「六十余州名所図会」です。幕末の1853年(嘉永6年)から1856年(安政3年)にかけて発表されています。

 東は陸奥の松島や出羽の最上川から西は日向の油津、大隅のさくらしま、さらに佐渡や壱岐・対馬などの島々に至るまで全国各地の名所をすべて竪判(縦長)で表現しています。

 広重はこの絵で描いた全国各地を実際に旅して見て歩いたわけではなく、「山水奇観」「日本名山図会」などに依拠して構図を借用したりしています。しかし、完成した作品は大胆な構図や風景画の中に人間の営みを描いた構成など、広重独自の表現が随所に見られます。広重晩年の集大成とも言えるシリーズです。

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  会場の二川宿本陣資料館             図録表紙

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左:上左=三河(鳳来寺山) 上右=遠江(浜名湖) 下左=駿河(三保の松原)
  下右=甲斐
右:尾張(津島天王祭り)

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上左=日向(油津) 上右=大隅(桜島) 下左=壱岐 下右=対馬

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二川宿
 東海道五十三次33番目の宿場です。愛知県の東端で現在は豊橋市です。
 大名の宿本陣を中心として現在も旧東海道の風情を残す宿場町です。

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  JR二川駅北口

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本陣前の旧東海道            本陣前の建物

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                       本陣の玄関

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   上段の間             厠(トイレ)       板の間

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旅籠屋「清明屋」                  街道沿いの各戸には共通の暖簾が

JR二川駅の北側は旧東海道の面影を残す町並みでした。一方、南側は動植物公園につながる新開地でまったく趣が異なります。

 明日は駅南口の動植物公園の花や動物をアップします。

 

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2009年4月21日 (火)

「近代日本画名品展Ⅰ~風景画の世界~」

 静岡新聞社が経営する駿府美術館の館蔵展です。水(海、湖、川)の風景11点、山の風景16点、山居村の風景23点、月の風景11点と秋野不矩の「マドバニ村落の壁画Ⅰ」の合わせて62点です。
 江戸時代初期の狩野探幽の「破墨山水図」から現代に至るまでの各時代に及んでいます。

 主な画家としては、福田半香・橋本雅邦・富岡鐵斎・下村観山・竹内栖鳳・川合玉堂・横山大観・結城素明・平福百穂・堂本印象などそうそうたる顔ぶれです。
 大作はありませんが、展示された作品を通じて近現代の日本画の流れや日本画のいろいろな手法がわかります。

 大学の前期の授業で「美術史(日本・東洋)」を聴講しているので日本の美術をできるだけ鑑賞するように努めています。

 次の4点については駿府博物館のHPで見ることができます。
橋本雅邦《林間残照図》
竹内栖鳳《秋
川端玉章《春江愛鶴・秋渓観瀑図》
冷泉為恭《足柄山図》

HP:http://square.at-s.com/sumpu/index.html

会期は5/6まで

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2009年4月18日 (土)

「石田徹也と静岡県ゆかりの画家」展

 石田徹也は1973年焼津に生まれ、2005年東京で踏み切り事故のために31歳で亡くなった画家です。
 1992年焼津中央高校を卒業、1996年武蔵野美術大学を卒業。その後アルバイトをしながら作品の制作に没頭しました。1996年、第64回毎日広告デザイン賞優秀賞、2001年VOCA展2001奨励賞などを受賞しています。

 彼の作品に登場する男性はほとんどすべて同じ顔をしています。会場の一角に展示してある生前の彼の写真を見ると作品に描かれた男性が彼自身によく似ていることがわかります。しかし、彼自身は自画像であることを否定しています。

 彼の作品は現代の社会に生きる人の不安や管理に対する反発の感情、現代の文明に対する風刺を鋭く描いています。道具や機械と一体化した人間像、中には便器と一体化した男の姿もあります。
 20代後半の作品には看護士や消防士が登場します。彼自身が救いを求めているということも考えられます。

 彼の作品の特異な題材と制作手法は従来の絵画にはないもので見る人に強烈な印象を与えます。彼の死後、NHKをはじめテレビ局が特集番組を放送するなどして一躍注目を浴びるようになりました。

 亡くなって2年後、故郷焼津で3月に、静岡県立美術館で7月に展覧会が開かれました。私はその両方を見ました。

 今回の展覧会は静岡県立美術館が所蔵する彼の作品で構成されています。出展作品は代表作と言われる「飛べなくなった人」など72点です。

彼の作品は公式HPに143点アップされているのでご覧ください。

http://www.tetsuyaishida.jp/

2階では静岡県ゆかりの画家展です。曽宮一念・北川民次・中村岳陵・梅原龍三郎・横山大観・秋野不矩などの作品44点です。

 会場で作品の解説パネルが2カ所で作品とは違う内容で驚きました。石田の「クラゲの夢」の解説が「鯉の夢」に掲示されていました。見ている人は絵の中にクラゲを探すのですがどこを見てもありません。2階では「富士山」の絵に、京都・東山の絵の解説が掲示されていました。係員を通じて学芸員に連絡していただき、クラゲの方は正しい位置に掲示されましたが、富士山の方はパネルがないようでした。
 会期の初日とは言え、珍しいことがあるものです。

会場:浜松市美術館 会期 4/18-5/17

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                           「飛べなくなった人」

美術館のある浜松城公園で
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10日前は桜の季節だったのですが、今日は八重桜と藤そして新緑の風景でした。

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2009年4月17日 (金)

「よみがえる黄金文明」展・・ブルガリアに眠る古代トラキアの秘宝

 バルカン半島のブルガリア・・と言えばヨーグルト・琴欧州・バラの香水ぐらいしか思い浮かびません。

 このブルガリアで世界最古の黄金の製品が数多く出土しています。それもつい最近のことです。この展覧会の目玉とされている「トラキア王の黄金のマスク」は2004年に発掘されました。また「黄金の花冠」は2005年に発掘されたばかりです。

 出品されている170点の作品のうち、最も古い物は前5000年紀の後半の物で金の腕輪やアップリケなどです。いずれも見事な細工で美しく輝いています。日本では縄文時代にあたります。このヴァルナ文化はトラキア以前の文化です。

 トラキア人とは・・勇敢な騎馬戦士としてトロイ伝説にも登場する民族で、前3000年紀からバルカン半島に勢力を築き、前5世紀から前3世紀が最盛期でした。同じバルカン半島のギリシヤ文明隆盛の時期と重なります。彫像、陶器、杯などにはアポロ・ヘラクレス・アドニス・ゼウスなどが登場します。

 170点の大半が金・銀・青銅などを加工したものですが、彫金の技術は驚嘆すべきレベルで微細な模様まで克明に表現されています。材料の金はどこで算出されたものか解明されていませんが、大量の金を用いた数々のみごとな作品を見ると、当時のトラキアの栄華と権力者の財力がよくわかります。

 トラキア人は文字を持たなかったこともあってこれまでほとんど知られていなかったのですが、近年の発掘によってにわかに脚光を浴びるようになりました。今後さらに発掘や研究が進むと世界史の一部が書き換えられることになるかもしれません。

 ショーケースの中で黄金色や銀色に輝く数々の作品は思わず息をのむような美しさでした。

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 「トラキア王の黄金のマスク」(看板)       チラシ

このマスクは672㌘の金をの板を打ち伸ばして厚さ3㍉のフィアラ(酒盃)にしたものです

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         チラシ                 マグネット

展覧会のHPがよくできています。主な作品も見ることができます。
HP: http://www.yomigaeru-gold.jp/

静岡県立美術館のHPでも主な作品を見ることができます。
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/

この展覧会は4/11~5/17 静岡県立美術館で。その後福岡へ巡回して終わります。

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2009年3月17日 (火)

日本画の大型秀作30点・・「秋野不矩と現代日本画展」

 日本画の普及を目的として昨年1月から全国12会場を巡回している企画展です。浜松の前は上野の森美術館で開催されていました。

 中堅から新鋭の日本画家の大型作品の秀作がみごとです。公募展の作品を中心として個展の作品も含めて、浜松会場では30点が出展されています。会場の規模が小さいことから一人の画家の作品は1点に限定されています。大きい会場では100点前後の作品が出展されたものと思います。

 主な作品は次のとおりです。

梅原幸雄 《線香花火》 78回日本美術院賞
土屋禮一 《椿樹》 37回日展日本画部大臣賞
西田眞人 《静まる刻》 30回日展特選
中町 力  《MONTPARNASSE》 35回日展特選
高橋秀年 《献灯》 77回院展奨励賞
北田克己 《夜明けの地》 日本美術院賞

作品は 「日本画 遠き道展 はてなき精進の過程」のHPのギャラリーで見ることができます。http://www.geocities.jp/artmuseumjp/

 この展覧会のもう一つの主旨は、視覚にハンディキャップのある人に対する鑑賞方法の普及です。この会場でも音声ガイドや手で触れることのできるレリーフなどが用意されていました。

 会場は秋野不矩美術館・・ということで、秋野不矩の作品が7点出展されています。中には秋野が90歳の時に制作した《オリッサの寺院》と題する横705㎝の大作もあります。

 日本画を見る機会が少ない中で、現代の日本画のトレンドを知ることができる貴重な展覧会です。

 会期は3月29日までです。ぜひお出かけください。

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2009年3月 4日 (水)

「珠玉のヨーロッパ油彩画展」・・正当派絵画のコレクション

 バロックから19世紀末までの約300年にわたる58点の絵はいずれもみごとな描写力で描かれた伝統的なヨーロッパ絵画です。これまでどこかの展覧会で見たことがあるような絵が次々と登場します。レンブラントやルーベンス、ベラスケスなどの絵を思わせる絵もあります。しかし・・プレートを見ると聞いたことのない名前の画家です。大学の西洋美術史の授業でもほとんど登場しなかった画家たち。巨匠の周辺にいて技法を学び、あるいはアカデミーで伝統的な正当派絵画を学んだ画家たちです。

 まさに‘知られざる名画’です。おなじみの巨匠の周辺にこのような珠玉の名画を描いた画家たちがいたことはヨーロッパ絵画の裾野が広く深いことを思わせます。

 展示室は大きく、1:宗教画 2:世俗画 3:肖像画 4:風景画 5:風俗画に分けられています。
 この展覧会をよりよく理解するためのパンフレットがよくできています。

 この展覧会はすべて長坂剛氏の個人コレクションです。作品の多くはHPから見ることができます。
HP http://www.nagasaka-collection.com/

会場は静岡駅から徒歩1分のサウスポット3階 静岡アートギャラリーです。
HPにこの展覧会の案内があります。 http://www.art.shizuoka-city.or.jp/

 会期は3月8日(日)までです。

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2009年3月 2日 (月)

優れた企画の「朝鮮王朝の絵画と日本」展:静岡県立美術館

 綿密に企画された内容の濃い企画展でした。1392年の太祖李成桂に始まる朝鮮王朝の絵画が日本の絵画に大きな影響を与えたことがよくわかります。

 展覧会のサブタイトルは「宗達、大雅、若冲も学んだ隣国の美」。第1室ではこれらの画家が朝鮮の絵画を模写して学んだことが示されています。題材は虎・葡萄・狗や山水画などです。若冲が模写した《猛虎図》(プライスコレクション)は京都・正伝寺に伝わる《虎図》正確に写したものであることがわかります。
 静岡県立美術館所蔵の若冲《樹花鳥獣図屏風》や《白象群獣図》はいずれも「桝目描」という独特の手法で描かれていますが、この手法は朝鮮特有の紙織画に想を得た可能性が指摘されています。
 与謝蕪村の《狗子図》や宗達の描く犬などにも朝鮮絵画の影響が見られます。

作品が出品されている日本の画家は、宗達、大雅、若冲、蕪村のほかに雪舟、狩野探幽、狩野山雪、英一蝶、白隠、葛飾北斎、鳥井清信、海北友松、浦上玉堂、谷文晃などです。

 展覧会の構成は次のようになっています。出品作品は約130点で、期間中にかなりの作品が展示替えになります。

第1部 朝鮮絵画の精華
 第1章 朝鮮絵画の流れ:山水画を中心に 前期・中期・後期
 第2章 仏画の美 高麗から朝鮮王朝へ
 第3章 絵画と工芸、越境する花鳥の美
 第4章 「民画」誕生
第2部 日本人のまなざし
 第5章 交流の形-朝鮮通信使の果たした役割
 第6章 日本画家のまなざし-日本絵画に与えた影響

 朝鮮絵画の歴史が系統的に理解できるようになっています。李氏朝鮮というと青磁・白磁を思い浮かべますが、それは朝鮮の美術の一部であって、絵画にも優れた作品のあることがよくわかります。

この展覧会は栃木県立美術館を経て静岡へ。この後仙台市博物館から岡山県立美術館へ巡回します。

 静岡での会期は3月29日までです。

 主な作品は美術館のHPで見ることができます。http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/

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静岡県立美術館     高さと幅が絶妙で歩きやすい階段

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                             図録322㌻ 2900円

 

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2009年1月23日 (金)

資生堂コレクション名品展(後期)

 資生堂アートハウス開館30周年記念展の後半です。前期展は10月29日に見てこのブログにアップしました。資生堂が1947年から断続的に開催している「椿会美術展」の第一次から第四次までと、「現代工芸展」(1975-1995)において発表された作品を中心に、油彩、現代美術、漆芸、竹工芸、金工併せて約70点が出品されています。

 油彩では、梅原龍三郎・林武・小磯良平・岡鹿之助・三岸節子・森芳雄・絹谷幸二などなど。‘花椿’に関連して、ツバキの絵もあります。現代美術では、李禹煥・野見山暁治など。

 工芸では飯塚小玕斎の竹工芸、増村益城の乾漆、田口善國の蒔絵、北村昭斎の螺鈿内藤四郎の金工など人間国宝級の作家のみごとな作品が展示されており、一つ一つ圧倒されます。伝統の技術の上に新しい発想と技術で生み出された作品は新鮮で美しい。

 これらの作品を見ると資生堂が、企業の顔として優れた芸術作品の収集をしてきたことがよくわかります。芸術を愛する系譜は明治初年の創始者から綿々と今に受け継がれています。

 資生堂アートハウスは入場無料です。受付で名簿に記名します。 
 この後期展は3月29日まで、掛川市下俣の資生堂掛川工場隣接のアートハウスで開催されています。

【資生堂企業資料館】
 アートハウスの東に隣接しています。操業120年を記念して1992年に開設されました。120年の歴史の中で生み出された商品の数々、ポスター・新聞広告などの広告など、資生堂のすべてがわかる展示になっています。
 ポスターは99%以上が女性のモデルである中でジュビロの中山をモデルとしたものもありました。

アートハウスと同じく無料。名簿への記名は不要。月曜休館。

アートハウスのちらしから

“画像をクリックすると大きくなります。画像右上の○の中の×をクリックすると元に戻ります”
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《薔薇 明嘉靖壺》梅原龍三郎        《パンジー》岡鹿之助

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     《麦》牛島憲之       上:田口善國の蒔絵 下:北村昭斎の螺鈿の箱

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  アートハウス           入り口          企業資料館

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2009年1月17日 (土)

追悼 アンドリュー・ワイエス

 アンドリュー・ワイエス展をミレーの会のメンバーと一緒に鑑賞したのは14日のことでした。それから3日後の今朝、ワイエスが91歳の生涯を終えたことがニュースで伝えられました。死因は特定されていないということです。

 ワイエス(1917-2009)は20世紀のアメリカを代表する画家で、2007年には芸術勲章を授与されており、アメリカの国民的画家とも言われています。

 水彩とテンペラなどによる非常に精緻な描写によって、ペンシルヴェニアやメイン州の平凡な農村風景を描きました。また、妻ベッツィに紹介されたクリスティーナ姉弟を30年間にわたって描き続けました。

 この展覧会は、「創造への道程」というサブタイトルを掲げ、数多くの習作によって彼の制作過程に迫ろうという企画です。
 素描や水彩によるデッサンなど、完成作に至る様々なプロセスを見ることができます。完成作は写真のパネル展示で習作のみという作品も何点かありました。これらの習作を通じてワイエスの制作意図や制作過程での構図の変更、色遣いの変化などを作品ごとに見ることができます。展示作品は約150点です。

 描写は精緻を極め、みごとな再現描写には驚嘆します。

 アンドリュー・ワイエスの死去を悼み、心からご冥福をお祈りします。

愛知県美術館 3月8日まで

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   《松ぼっくり男爵》                 《火打ち石》

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      《三日月》            名古屋市美術館から愛知県美術館へ移動中

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2009年1月16日 (金)

モネ「印象 日の出」展

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印象派の名前の由来となったモネの《印象 日の出》(1873年)です。1874年の第1回印象派展に出品されました。そのとき、批評家のルイ・ルロワは「印象?私も確かにそう感じる。しかし、この絵には印象しかない。まだ描きかけの海景画(壁紙)の方がマシだ」
とする嘲笑記事を書きました。ここからモネ、ドガ、シスレー、ルノワール、ピサロ、セザンヌなどが‘印象派’と呼ばれることになりました。

 この絵を見ると、かなり荒い筆遣いで茜色の雲、船、波、工場群などが描かれています。伝統的な絵画手法による質感や正確な再現性はありません。ルロワに言わせるとこれは絵ではない、あるいは完成した絵ではない、ということになります。 

 水平線から昇ってきた赤い太陽がまず目に入ります。そして、刻々と色を変えている茜色の雲とそれを移した海面・・見る人はこの前後の時間の移り変わりを思い浮かべます。
朝日の射す中、船を漕ぎ出した人、画面を横断する船、背景の工場群、クレーン、煙・・
一見無造作に描かれたこの絵から様々なことを想像します。
 モネの描いた印象を見る人が自分の印象としてとらえるのだろうと思います。

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         モネ《ルエルの眺め》 1858年

 モネが初めて描いた油彩画だとされています。18歳の時の作品です。穏やかな田園の風景を繊細なタッチで美しく描いて見る人の心を落ち着かせてくれる絵です。

 「モネ 印象 日の出」展は名古屋市美術館20周年記念展です。名前のとおりモネの
《印象 日の出》をメインにした展覧会です。この絵だけは特別のブースに展示され、警備員が常時配置されています。パリのマルモッタン美術館所蔵のこの絵は日本で4回目の公開、名古屋では初めです。

 この展覧会の出品作品は35点。モネ18・ブーダン3・ピサロ4・シスレー4・セザンヌ1・
モリゾ1・ルノワール3・ギヨマン1です。
 35点のうち、《印象 日の出》はマルモッタンですが、後の34点はすべて国内の美術館からの貸し出しです。モネの作品は《睡蓮》3点・《チャリングクロス橋》3点などです。

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      モネ《テムズ河のチャリングクロス橋》 1903年

 展示作品は多くないのですが、大半は海・川・池など水にかかわる風景を描いた作品です。

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     ピサロ《グラット=コックの丘からの眺め、ポントワーズ》 1878年頃

 8回開催された印象派の様々な記録や時代背景などがわかりやすいパネルで紹介されているほか、それぞれの画家を紹介するパネルなども用意されていて鑑賞を助けてくれます。

名古屋市美術館で 2月8日まで

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ミレーの会の22人が白川公園を横切って美術舘に向かいました。
団体入場した後は各自思い思いに名画を鑑賞しました。

 

 

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2008年12月31日 (水)

二つのピカソ展

 14日まで東京の二つの美術館で行われていた展覧会です。12日に見て半月以上が過ぎたので記憶があいまいな部分もあります。

 国立新美術館では「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」展、サントリー美術館では「巨匠ピカソ 魂のポートレート展」です。

 国立ではピカソ23歳から90歳までの167点が出展されていました。かなりの点数ですが、ピカソの作品は油彩画だけで13000点以上あると言われていますので、これでもほんの一部です。
 約170点の作品が年代順に8つに分けて展示されていました。青の時代・バラ色の時代・キュビスムの時代・新古典主義の時代・シュルレアリスムの時代・ゲルニカの時代・戦後の時代など、ピカソの全生涯をこれらの作品を通じて一通り展望できるようになっていました。

 サントリーでは自画像を中心とするポートレート58点が、5つの時代に分けて展示されていました。19歳から90歳までの作品です。

 合わせて230点近い作品からピカソの生き方、芸術観、政治とのかかわり、戦争への意識などいろいろなことを知ることができます。

 とりわけ、ピカソが愛した何人もの女性はそれぞれモデルとして作品に描かれただけでなく、、その時々の女性との関係が絵画の表現法に大きな影響を与えていたことがよくわかって興味を引きます。同じ年の作品でも、モデルによって女性の描き方がまったく違っていて同年代の作品とは思えないこともあります。

国立新美術館の167点のうち女性をモデルとした作品が油彩画を中心として約90点と過半数を占めています。

 この二つの展覧会でピカソをめぐる女性に視点を当てて見てみました。
彼の生涯に名を残す女性は7人です。
①オリヴィエ 20代のピカソの最初の恋人
②エヴァ   1915年に癌で死去
③オルガ   ロシアのバレリーナ 1918年結婚 後に別居 1955年オルガが死ぬま で離婚できなかった
④マリー・テレーズ 1927年、45歳のピカソは17歳の彼女に出会い、32年から同居
⑤ドラ・マール カメラマンで画家 1936年に出会い45年まで
⑥フランソワーズ 1943年に出会い、46年同居 53年にフランソワーズの方から出て行き、他の男と結婚
⑦ジャクリーヌ 1954年に出会い、オルガの死後の61年に結婚。ピカソ79歳

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左:《肘掛け椅子に座るオルガの肖像》 1918年
中:《マリー・テレーズの肖像》 1937年
右:《ドラ・マールの肖像》 1937年 この当時ピカソは二人を愛していた

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左:《泣く女》 1937年 ドラ・マール  彼女は当時ピカソの奔放な女性関係に悩み、精神的に疲れていた。上右の絵と同じ年のドラ・マールです
中:国立新美術館のちらしの表。《ドラ・マールの肖像》
右:ちらしの裏

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サントリー美術館のちらしから
左:《自画像》 1901年・20歳
右:左から①《自画像》 1906年②《牧神パンの笛》 1923年③彫刻家 1931年④《ヴェールをかざす娘に対して、洞窟の前のミノタウルスと死んだ牝馬》 1936年

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2面にプリントされたクリアファイル            右下はジャクリーヌ

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女性像の絵はがき     345㌻の分厚い図録

ピカソ展はこれまでに数多く見ましたが、2002年秋に上野の森美術館で見た「ピカソ 天才の誕生」展は今でも鮮明に記憶に残っています。

 こ展覧会はピカソ9歳から22歳までの13年間に焦点を当てて、200余点の作品で天才ピカソ誕生のドラマを見せてくれました。

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    同展のちらし           《初聖体拝領》 14歳・166×118の大作
                             まさに天才の描写力です 

 

  

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2008年11月19日 (水)

注目の日本画家 松井冬子展:平野美術館

 松井冬子は今もっとも注目されている日本画家です。静岡県森町出身・34歳。東京芸大・同大学院博士課程修了。芸大日本画専攻の女性で初の博士号取得者です。

 松井冬子の絵は幽霊・子宮の飛び出した女性の裸体・傷んだ皮膚や内蔵・人体の腑分図など一見不気味でグロテスクな描写の連続です。上野千鶴子(東大)は‘自傷系アート’と表現しています。
 絹本に岩絵具を用いて描く伝統的な日本画の手法です。それぞれの絵は微細な描写で精緻に描かれています。

 松井の絵を言葉で表現するのは難しいことです。出品されている30点の絵のいくつかには松井自身の言葉で書かれた解説が添えられていますが、難解で一読しただけでは理解が困難です。ちなみに、彼女の博士論文のタイトルは「知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避」です。

 松井の絵は女性に人気があります。一見グロテスクな絵が女性に支持されています。松井自身も女性に対してメッセージを送っています。
 NHKのETV特集で4月20日から4回にわたって繰り返し放映された「痛みが美に変わる時~画家・松井冬子の世界~」は、‘痛み’を感じさせる彼女の絵がなぜ‘美’として感じられ人気を得ているのか、創作現場での取材も含めてその謎に迫っています。

 会場ではそのDVDを見ることができます。11月21日に発売予定のこのDVDが会場で先行販売されています。

 映像で見るとよくわかるのですが、松井冬子は美貌で有名な女性です。印象的な大きな瞳とみごとな肢体。VOGUEのWomen of the Year 2006に選ばれています。この年に最も輝いた14人の女性の一人です。この年に選ばれたのは、長澤まさみ・菊地凛子・中谷美紀・荒川静香・知花くららなどです。美貌とグロテスクな絵のアンバランスが不思議です。

 会場の平野美術館は個人の小規模な美術館で、松井の個展はこの美術館の開館20周年記念展です。会場はこれまでにない多くの入場者で賑わっていました。大半は女性です。
 美術館のHPで作品のいくつかを見ることができます。
HP http://www.hirano-museum.jp/tenran/fuyuko_matsui1.htm 

 また、Googleなどで検索すると松井冬子の画像など多くの情報が得られます。

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2008年10月30日 (木)

「ピカソとクレーの生きた時代」展

 ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵の作品による展覧会です。
ピカソ、クレーを中心としてマティス、ブラック、シャガール、マグリット、エルンスト、ミロ、カンディンスキーなど32人の画家の65点が出品されています。本邦初公開22点、東海地区初公開59点です。

 ヴェストファーレン美術館は1960年代に州政府がクレーの作品を収集したのが始まりという新しい美術館です。収蔵品の点数は多くないようですが、質の高さが特徴だと言われています。

 ピカソの作品は本邦初公開の《鏡の前の女》のほか《ひじかけ椅子に座る女》《二人の座る女》など、幅広い年代にわたっていてピカソの絵の変化を見ることができます。

 二階の展示室の大半はクレーの作品です。この美術館の誇るコレクションによって、クレーの画業のあらましを知ることができます。色彩豊かで具象とも抽象ともつかない独特の作品、体が不自由になった晩年の太い輪郭線の作品などが印象に残ります。

 20世紀前半の、キュビズム、シュルレアリスム、表現主義、構成主義などの美術史の流れを知ることができる展覧会です。

会場ではボランティアガイドによる説明を聴くことができました。

HP http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2008/picasso_klee/index.html 

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2008年10月29日 (水)

資生堂コレクション名品展

 資生堂が掛川工場の一角にアートハウスを開館したのは1978年でした。高宮真介、谷口吉生両氏の設計によるこの美術館は1980年に日本建築学会賞を受けた優れた建築物です。
 この美術館の収蔵品は椿会美術展や現代工芸展のメンバーを中心として約1600点です。
 今、開館30周年記念として資生堂コレクション名品展が開かれています。前期は日本画・現代美術・陶芸・硝子工芸で12月21日まで、後期は洋画・現代美術・漆芸・竹工芸・金工で1月10日から3月29日までです。

 出品作家:横山大観・奥村土牛・前田青邨・山口逢春・高山辰雄・清水卯一・岩田久利など。

 資生堂は芸術文化支援活動に熱心で絵画の収集もその一環として行われてきたものです。

 美術館の建築そのものに一見の価値があります。エントランスから左に入った後、右へ右へと螺旋状に見て回っていくと出口に到達するユニークな展示室になっています。

 日本画は昭和時代の代表的な画家の優品が多く。陶芸も優れた作品が多く展示されています。資生堂の‘美意識’を知ることができます。

入場は無料です。受付で記名します。

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アートハウス。左奥は掛川工場        アートハウス

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左:野外彫刻。新幹線を挟んで向こうに掛川市役所が見えています
右:隣接の企業資料館。130年余の歴史を物語る製品や宣伝物など。金曜日のみの公開でしたが、11月1日からはアートハウスと同じく月曜休館になりました。

HPhttp://www.shiseido.co.jp/museum/ 作品の画像などもあります

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2008年9月13日 (土)

フェルメール展②

 展覧会の正式な名称は「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」です。デルフトはオランダ南西部の小都市でフェルメールが生涯を過ごした町です。
 40点の作品のうち、フェルメールが7点、ホーホが最多で8点、そのほかはヘイデン、ヘーストなどデルフトで活躍した十数人の画家の作品です。

 フェルメール(1632-1675)は43年の生涯でわずか50枚程度しか描かなかったとされています。現存するのは30数枚。もっとも厳密に真作を考えると32枚にとどまると言われています。この展覧会の監修者は36点としています。
 日本ではフェルメールの人気が非常に高いのですが、その理由は①作品の絶対数が少ないこと②宗教画が少なく親しみやすい風俗画が多いこと③女性の日常の様子を描いた絵が多いこと④美しい光の描写や精緻な質感の表現など、が考えられます。

 人気のフェルメールの絵が一挙に7点も公開されるこの展覧会は見逃せません。ただし、この7点の中には人気の高い《真珠の首飾り》《青衣の女》《牛乳を注ぐ女》《天秤を持つ女》
などは含まれていません。

 出品が予定されていた《絵画芸術》は保存状態が悪いことからオーストリア政府が出品を認めなかったため直前になって出品中止になりました。代わりに《手紙を書く婦人と召使い》
が出品されています。

 フェルメールの7点は風景画《小路》以外はいずれも女性が登場します。《ワイングラスを持つ娘》(別名:二人の紳士と女)《リュートを調弦する女》(別名:窓辺でリュートを弾く女)《ヴァージナルの前に座る若い女》などはいずれも左方の窓からの光を受けた人物が描かれています。人物だけでなくカーテンやテーブルクロス、衣裳なども光を受けて精密に質感豊かに描写されています。
 《小路》は残された2枚の風景画のうちの1枚です。デルフトの小路を描いたものですが場所についてはいろいろな議論があって特定されていないようです。風景画の中に女性や子どもも登場して風俗画の一面を持っています。

 《ヴァージナルの前に座る若い女》は2004年にフェルメールの真作と認められたばかりの絵でサザビーズで32億円で取引されたということです。個人蔵です。

 フェルメールを7点もまとめて見ることができて満足しました。ホーホなどデルフトの画家たちの作品も遠近法など作風に共通点があり興味深く見ることができました。

 金曜日の1時前後でしたが思ったほど込んでいませんでした。入場待ちも15分足らずで中でも大混雑で絵に近づけないという状況ではありませんでした。
 この日は時間がなくて他の展覧会へ行くことはできませんでした。

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    チラシから。 フェルメール《ワイングラスを持つ娘》

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                        出品中止の《絵画芸術》

音声ガイドが「タッチ・ガイド」になっていました。シートにカラープリントされた画像にペンでタッチすると解説が流れます。
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展示作品などは公式HPからご覧ください。

http://www.tbs.co.jp/vermeer/jpn/index-j.html

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2008年9月12日 (金)

フェルメール展①

   半年ぶりの東京で用を済ませた後、上野の森へ。都美術館で開かれているフェルメール展を見ました。美術ファンの間で人気の高いフェルメールの作品は全部で30数点しかありません。‘数点’というのは真贋の定かでない作品があるということを意味しています。今回はその30数点の内、7点が展示されています。
 大混雑で長蛇の列と思ったのですが・・30分待ちの表示で実際には15分で入れました。

 展覧会の中身については明日アップすることにして入場の前と後の様子をお伝えします。

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上野公園。修学旅行の一群    サクラの木々     展覧会の看板

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実際には15分待ち  エントランスでのこぎり演奏  出口で買ったロブションのケーキ

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 ケーキの箱          マロンケーキ      上野公園でお昼

ケーキのバッグの絵は「ワイングラスを持つ娘」で今回出品されています。箱の「牛乳を注ぐ女」は出品されていません。バッグも箱もなかなかしゃれたデザインです。おいしいマロンケーキでした。

展覧会の内容については明日アップします。  

 

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2008年8月29日 (金)

近代日本画の巨匠展 平野美術館[

 平野美術館(浜松市)開館20周年記念展・・サブタイトルは「東の大観・西の栖鳳を中心に」です。
 明治以降の近代日本画は横山大観を中心とする日本美術院の勢力と、竹内栖鳳を中心とする京都画壇の二大勢力が競い合って発展していきます。

 この展覧会ではその大観と栖鳳の作品を中心に約50点で明治以後の日本画の流れを見せています。

 作品は小品が多いのですが出品されている画家の顔ぶれは豪華です。
東京画壇(  )は後期
狩野芳崖1点(1) 橋本雅邦1(1) 横山大観4(5) 川端龍子3(2) 前田青邨1(0)   堅山南風1(1) 奥村土牛2(2)

京都画壇
竹内栖鳳9(9) 上村松園0(1) 小野竹喬4(3) 金島桂華1(0) 秋野不矩1(1)

現代の作家
今井守彦 木下章 野々内良樹 那波多目功一 岩倉壽 栗原幸彦など各1点

二つの勢力を比べながら明治以降の日本画の流れを見ることができます。
大観の作品では「霊峰不二」「皓月」、栖鳳は六曲一隻屏風「保津川図」などが目を引きました。

会期は10月13日まで(9月23日から後期です)

平野美術館HP http://www.hirano-museum.jp/

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     チラシ:表                       裏

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   栖鳳「夏景富嶽」(後期)             大観「霊峰不二」前期
 

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2008年8月22日 (金)

秋野不矩 創造の小径展

 生誕100年記念展に続くこの企画展は、主として個人が所蔵する猫・花・人形などを描いた小品で構成されています。
 多い時には3匹の猫を飼ったほど猫好きの秋野です。今回も猫の絵が数点あります。青い目をしたペルシャ猫やシャム猫などりっぱな猫です。わが家のレーチェとは格が違います。猫たちは制作中にじゃまをしてよく叱られたとか。猫の毛がついた作品もあるとのことです。

 花は梅・桜・罌粟・鉄線・ミズキ・アネモネ・いかり草や南国の花など。インドの寺院や牛を描いたおなじみの作品もあります。85点が展示されていますが大半は70歳以降の作品で亡くなった年(2001年)、93歳の時の作品もあります。
 身の回りの物を描いた作品やインドで印象に残った風景を描きとめた作品など、大作とはひと味違う秋野不矩の画業の一端を知ることができます。

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                         チラシ

秋野不矩美術館はこのブログでおなじみですが・・。丘の麓の二俣高校からは秋野不矩の後輩たちが吹奏楽の練習をしている音が響いてきました。

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                                  丘の斜面の栗の実

天竜二俣の町では23,24日がお祭りで準備が行われていました。

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2008年8月20日 (水)

バウハウス・デッサウ展

 ‘バウハウス‘はドイツ語で‘建築の家’を意味します。1919年から1933年まで芸術に関する総合教育を行った造形芸術学校でその後の建築をはじめ、芸術思想・芸術教育に大きな影響を与えています。

 デッサウはこの学校が1925年にワイマールから移転して1932年まで教育を行った地です。校長を務めた建築家グロピウスの設計による校舎が現存して、ユネスコの世界遺産に登録されています。

 この展覧会では、デッサウの学校の教官であったカンジンスキーやパウル・クレーに指導されて学生たちが制作した色彩や造形などの作品が多数出品されています。カンジンスキーやクレーの作品もあります。教育の成果としての作品のほかに工房でのプロダクトも数多く出品されています。

 グロピウス校長は「あらゆる造形の最終目標は建築である」と宣言しています。家具・調度品・食器などの日用品から写真・広告・建築に至るまで、「芸術」と「技術」を統一して造形活動を行ったことが作品から読みとれます。
 コンクリートやガラスを多用した建築、斬新なデザインによる家具や調度品などは現代に通じるものがあります。会場ではバウハウスでデザインされた家具や食器などの販売も行われています。

 舞台芸術なども含む幅広いジャンルを‘芸術’としてとらえとことは館内で上映される動画でよくわかります。

 通常の絵画展とは違う地味な内容ですが、20世紀の芸術の歴史を知るために教えられるところの多い展覧会でした。

浜松市美術館で9月7日までです。

美術館HP  http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/artmuse/index.htm

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   玄関横              展示室入り口      美術館入り口

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                   美術館北斜面の滝     日本庭園      

  

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2008年8月 7日 (木)

平野憲の世界・・平野美術館開館20周年記念

 平野憲(1917-1995)はこの美術館の初代館長です。家業である林業を継承し、父素芸と共に美術品の収集に努めました。
 仕事の第一線を退いた後、60代になって独学で書画を嗜みました。日本画の絵の具を用いています。応挙風の花鳥画から世相を鋭く風刺した絵まで様々です。ユーモアに満ちた風刺画と詩歌の世界を描いた作品からは心豊かな晩年を送った憲の精神世界を見ることができます。52点。会期は8月10日までです。

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以下の画像はチラシから。

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               「権力財力かさにかけ」1981年

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                    「白鵬」1986年     「大正生まれ俺達の詩」1984年

平野美術館HP http://www.hirano-museum.jp/

         

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2008年8月 6日 (水)

大谷青嵐書画展・奥山方広寺

 大谷青嵐先生は浜松市の書道家です。現在静岡県書道連盟理事長の要職にあります。
書・刻字のほか漢字の起源の研究・古印材や文房四宝の蒐集など多方面で活躍され、各地で行われる講演はどこでも好評です。
 中国への旅数十回で、蘇州市寒山寺書道院顧問、寒山寺から僧号‘常谷’を贈られています。
 優しいお人柄の表れた書画は大変人気があります。今回の書画展はチャリティで、作品制作費は無料、額と表装代だけで即売されています。
 私も一度中国へ連れて行っていただいたことがあります。

会場は浜松市北区奥山の臨済宗総本山方広寺です。会期は9月30日まで。
展覧会は無料ですが方広寺の拝観料300円が必要です。

方広寺については別のページでアップします。

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2008年7月27日 (日)

生誕100年記念 秋野不矩展(後期) 

 今日は後期展の最終日でした。9時半の開館直後に入りましたが、すでに先客が何人か。
前期展と作品を総入れ替えした後期展は、秋野が25歳で第14回帝展に出品した《朝露》から始まって亡くなる前年の2000年・92歳の時に京都春季創画展に出品した《マドバニ村落の壁》まで41点が出品されていました。
 初期の伝統的な日本画から40代に始まる少年などの群像、そして50代以降のインドを中心としたアジアの農村や大地、大河を描いた作品と、秋野不矩の画業の流れを見ることができます。
 インドの寺院、民家、ガンジス川などを題材とした大作はみごとな構図と土の色を中心とした色の組み合わせでそこに生きる人たちと自然を描いていて圧倒されます。

 今日も浜松市天竜区二俣は‘燃えて’いました。午前9時半の気温が35℃、そして10時15分には画像でご覧のとおりに・・。日本一高温になることが多い町です。

【画像をクリックすると大きくなります】

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                  駐車場からの坂はなかなかきつい

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サルスベリが咲いていました     10時15分:36℃を示す電光表示

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2008年7月25日 (金)

鑑真和上展

 唐招提寺の金堂が2009年まで平成の大修理中のため、所蔵の仏像などが一挙に公開されました。
 この春は東大寺の月光菩薩・日光菩薩などが国立博物館で公開され、法隆寺の釈迦三尊像などがつい最近まで奈良国立博物館で公開されていました。奈良の主な文化財がそろって門外に出て奈良には不在でした。2010年の平安遷都1300年に向けての一連の行事ということなのでしょうか。

 今回の「国宝鑑真和上展」には、国宝:彫刻5躯、舎利容器、金堂の天井支輪板と軒支輪板、金堂所用瓦など延べ24点、重文:彫刻10躯、勅額、東征伝絵巻など延べ40点、その他合わせて約140点近くが展示されています。

 圧巻はなんと言っても「国宝の「鑑真和上坐像」です。弟子の忍基が生前の鑑真の姿をとどめようとして弟子と共に作ったとされています。奈良時代(8世紀)の作で日本における最古で最高の肖像彫刻と言われています。12年に及ぶ苦難の渡航を乗り越えて来日し、唐招提寺を創建した和上の尊いお姿を間近に見ることができて感動します。

 そのほかに、梵天立像・帝釈天立像・四天王寺立像 広目天・四天王寺立像 多聞天などの国宝があります。

 天平時代を中心として白鳳から江戸時代までの数々の寺宝を、静岡でまとめて見ることができます。

 収蔵品展として富士山の絵画」を同時開催中です。

「鑑真和上展」は静岡県立美術館で8月31日まで

静岡県立美術館HP http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/ 

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2008年6月27日 (金)

生誕100年記念 秋野不矩展

 文化勲章受章の日本画家秋野不矩は1908年に静岡県磐田郡二俣町(現・浜松市天竜区二俣町)に生まれました。今年が生誕100周年に当たります。
 それを記念して秋野の故郷で開かれた記念展です。

 この展覧会には28歳の時の作品から93歳で没した2001年までの作品41点とスケッチブックや絵本原画・書簡などが出品されています。
 80代の作品が11点、90代の作品が5点と晩年の作品が3分の1以上を占めています。高齢になっても創作意欲がきわめて旺盛であったことを物語っています。中でも90歳の年の「オリッサの寺院」は縦122㌢横705㌢の大作です。
 亡くなった年・・2001年の「砂漠のガイド」は、サハラ砂漠の風紋の上を黒い服を着た一人の女性が長い影を引きながら画面右上方に歩いていく後ろ姿を描いています。私にはこの後間もなく世を去った秋野不矩その人の姿に思えました。

 日本画の伝統的な手法を用いながら、一見して洋画に見える構図や色遣いの絵もあり、日本画の革新に取り組んだ秋野の作風がよく伺えます。

 41点の大半はインド・アフガニスタン・アフリカなどの情景と人を描いた作品です。 

 この展覧会は京都国立近代美術館で(4/8~5/11)で開催されています。今回の会場の
秋野不矩美術館は規模が小さいこともあって前期(6/7~6/29)と後期(7/2~7/27)に分けて行われます。作品は総入れ替えになります。

2008年6月27日 秋野不矩美術館(浜松市天竜区二俣)

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    チラシ    表                  裏  最上部が「オリッサの寺院

 秋野不矩美術館は1998年に開館しました。秋野が90歳の年で文化勲章受章の前年です。藤森照信が基本設計をしました。外観・内装共に木の温もりが伝わってくるすばらしい建築です。入り口で靴を脱いで入ります。1階の展示室は大理石で、ひんやりとした床に中央部に座って四方の絵を眺めるとゆったりと落ち着いて見ることができます。そのために作品は少し低い位置に展示してあります。
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  丘の上にあります            左下は秋野の母校(二俣高校)   入り口

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2008年6月20日 (金)

シルクロード・ミュージアム

 シルクロードの古美術品や平山郁夫の絵、日本の代表的な陶芸家の作品など個人のコレクションを展示した美術館です。建物は古い農家を改修したものです。昨年12月にオープンしました。

 2階の展示室には紀元前3000年頃から15世紀までの彩文土器、イスラム陶器、ガラス器、仏像など中国、インド、中央アジア、西アジア各地の美術品の数々が展示されています。平山郁夫のスケッチやデッサンなども何枚かあります。

 1階は日本の陶芸の展示室です。九谷焼・清水焼・常滑焼・萩焼・伊万里焼・備前焼など日本を代表する窯元の人間国宝の陶芸家の作品があります。

 個人のコレクションとしてはなかなかのものです。館長を務めるコレクターは浜松市浜北区で運送・倉庫など物流関連企業の経営者です。かつての磐田郡竜川村の小学校の同級生である田辺勝美氏(元・金沢大学教授。現・中央大学教授。専門は西アジア・中央アジア美術史、文化交流史)の影響で蒐集をはじめたということです。田辺氏はこの美術館の名誉顧問です。

 丁寧な説明を聞きながら約1時間かけて見ました。

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       正面が母屋。1,2階で200坪。築120年余
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     1階               2階は養蚕室を改造

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平山郁夫の絵
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日本の代表的な陶芸家の作品
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撮影は自由でしたが、光の反射などでなかなかきれいに撮れません。

美術館の所在地:磐田市上野部888 月曜定休 入場料800円

美術館のHPは会社のHPにアップされています。http://www.hamanakonpou.jp/index.php
                      

 

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2008年6月14日 (土)

「古代エジプトの美」展

 B.C3000年から紀元前後までの3000年間にわたる古代エジプト文明の美の様式と起源を物語る約300点が出品されています。点数は多いのですが、大半は小品で中にはルーペで拡大して見せる展示物もあります。小品のほか、王の碑文やオベリスクなどもあります。
 エジプト展と言えば1965年のツタンカーメン展や1978年のエジプト展(いずれも国立博物館)を思い出しますが、それらに比べるとはるかに規模が小さい展覧会です。 

 イギリスのイートン・カレッジとダーラム大学のコレクションです。ダーラム大学のコレクションは19世紀前半に蒐集された「死者の書」など、文字による作品が多く、一方のイースト・カレッジのコレクションは造形美に優れた作品が多いという特徴があります。

 石に刻まれたり箱に描かれた人物は、顔と下半身は側面から、胴体と目は正面から見た姿で、われわれにはおなじみの様式です。
 小品をよく見ると実に精巧にそして美しく表現されていることがわかります。中でもファイアンス製の青みがかった作品が目につきます。
 ‘ファイアンス’とは・・石英を主とする粉末を固めて胎(たい)を作り、その上にガラス質の釉薬をかけたものです。神々の像や鉢、杯など青を主体として美しく造形され、彩色されています。

 エジプトと言えばミイラ・・ミイラも出品されています。B.C250年頃の一体の全身像と木棺のほか腕、手首から先の手や頭部のミイラもあります。

 この展覧会を通じて古代エジプト人の神話の世界と造形美を見ることができます。

 浜松市美術館で7月21日まで開催中です。
TV静岡 展覧会HP http://www.sut-tv.com/event/egypt/index.html  

東京新聞展覧会HP http://www.tokyo-np.co.jp/event/bi/egypt/

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2008年6月 3日 (火)

平野美術館開館20周年記念館蔵名品選

 平野美術館は浜松市中区元浜町にあります。市内で不動産業などを営んでいた平野父子のコレクションをもとに1989年に開館しました。自社の賃貸マンションビルの2階が美術館になっています。浜松駅から徒歩20分です。
 コレクションは鎌倉時代の仏画から近代の日本画、洋画や現代美術にまで及んでいます。
 今回の展覧会は開館20周年を記念して、コレクションの中から選りすぐりの作品約60点が出品されています。
 渡辺崋山の「猛虎図」(重要美術品)・竹内栖鳳3点・横山大観2点・鏑木清方・小野竹喬・中村岳陵・伊東深水などの近代日本画、地元の野島青慈3点、洋画では梅原龍三郎・児島善三郎など、現代アートでは、猪熊弦一郎・菅井汲・草間弥生など、そのほか工芸では澤田政広や圓鍔勝三の彫刻もあります。
 大半は小品ですが、地方の美術愛好家によるすぐれたコレクションです。この展覧会は6月8日までですが、その後も記念展が開催される予定です。

美術館HP http://www.hirano-museum.jp/

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               マンションビルの2階が美術館です
 

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2008年6月 2日 (月)

秋野不矩青春の母校と町とゆかりの人々展

 この長い名前の展覧会は、静岡県立二俣高校出身の女流日本画家秋野不矩の生誕100年を記念して、同校と学校後援会、同窓会、PTAが実行委員会を組織して開いたものです。秋野不矩は1908年二俣で生まれました。小学校時代に絵画制作に目覚め、静岡女子師範での三澤佐助との出会いを経て千葉や京都で修行しました。1999年に文化勲章受章、2001年に93歳で亡くなりました。
 母校から見上げる丘の上に、文化勲章受章の前年に開館した秋野不矩美術館があります。
 この展覧会では秋野画伯の青春時代に焦点を当てて、直筆の書簡や20代の作品、恩師の資料や作品などで構成されています。
 6月29日まで土日に限って公開されています。入場無料。

 秋野不矩美術館では6月7日から「秋野不矩生誕100年特別展」が開かれます。

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                   会場は普通の教室です

 パンフレットと「「秋野不矩ゆかりの地案内」のイラストマップがよくできていました。
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 車を使わないで、浜松から遠州鉄道の電車と天竜浜名湖鉄道を乗り継いで行きました。天竜浜名湖鉄道(通称天浜線)は旧国鉄二俣線です。
 二俣には所々に古い町並みが残っています。

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 西鹿島駅で天浜線に乗り換え    鹿島で天竜川を渡ります    鮎解禁の日でした

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西鹿島から一つ目、3分です  無人駅にお蕎麦屋さん  二俣川の橋の向こうに校舎が

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            正門から丘の上の秋野不矩美術館を望む 昇降口に生指導の掲示

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1914年築の洋館風医院は現役です

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2008年6月 1日 (日)

国宝薬師寺展

 平常遷都1300年を記念しての展覧会で、薬師寺の主な宝物がそろって東京・国立博物館へお引っ越しです。3月25日に始まったこの展覧会の人気は抜群で、連日1万人を突破。5月31日には入場者が65万人を超えたということです。私が行った30日は夜8時まで開館されていたこともあって1日で2万人の新記録でした。2時に並んだ時には70分待ちということでしたが、実際に入場できたのは85分後でした。31日の午前11時には降りしきる雨の中で100分待ちだったということです。入る前に疲れてしまいます。ようやく入っても人・・人・・人でゆっくり見ていることはできません。会期は6月8日までです。

 この展覧会がこれほど人気があるのは・・薬師寺にある国宝の大半が出品されていること、さらに日光菩薩・月光菩薩・聖観世音菩薩などを間近で前後左右のあらゆる角度から見ることができるという魅力です。
 薬師寺にある国宝の彫刻で唯一来ていないのは本尊の薬師如来像だけです。
 金堂の薬師如来の向かって右に立つ日光菩薩、左に立つ月光菩薩はいずれも光背があるために金堂内では背面を見ることができないのですが、二つの菩薩像はいずれも昨年末に光背を取り除く作業を行って出品されていますので背面もよく見ることができます。3㍍を超える大きな仏像ですが、正面の一段高いところからも見ることができるようになっており、みごとなお顔をよく見ることができます。日光菩薩は右脚に、月光菩薩は左脚に重点を置いて動きのある体形が表現されています。
 古代彫刻を代表する名品である聖観世音菩薩立像も通常は厨子の中に安置されているのですが、今回はあらゆる角度から見ることができます。

 国宝の吉祥天像の絵は小さいものですが、部分を拡大した図などによってわかりやすく展示してあります。

 そのほか、国宝八幡三神座像、仏足石、慈恩大師像など国宝12点を含む約50点が出品されています。

 本来ならば薬師寺の塔頭に安置された形で拝観するのが自然なのでしょうが、このような形で見ることができるのはありがたいことです。
 薬師寺に戻った宝物を静かな環境でゆっくりと見てみたいと思います。

国宝薬師寺展 HP http://yakushiji2008.jp/index.html

薬師寺HP      http://www.nara-yakushiji.com/ 

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      月光菩薩                     日光菩薩

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 4時過ぎてもこの行列  本館前のユリノキ:樹齢100年  ユリノキの花

 

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2008年5月20日 (火)

シャガール展・・色彩の詩人 静岡県立美術館

 シャガール(1887-1985)はロシア西方(現在はベラルーシ)の町ヴィテブスクで生まれたユダヤ人です。ベルリン・パリ・ニューヨークなどに移り住み、1947年から亡くなるまではパリで生活しています。アンドレ・マルローの尽力によってニース市に国立シャガール美術館が建設されました。
 シャガールは長命で97歳で亡くなっています。この展覧会には20代初期の作品から80歳を過ぎた晩年の作品まで150点余が出品されています。80歳を過ぎてから取り組んだ大作には驚嘆します。
 シャガールは独特の色彩感覚と画面構成で愛・信仰・故郷の情景などを幻想的に描いています。「ヴァイオリン弾き、婚礼の祝祭、村人、牛・ヤギ・ロバ・鶏などのモティーフは、シャガールが幼少期に故国、とりわけ生地のヴィテブスクで見ていたもの」で、「忘れ得ぬ故郷の思い出は、ノスタルジアとなって、シャガールの芸術を貫いています。」(展覧会パンフレット)。
 ノスタルジアとともに彼の絵を貫いているのがユダヤ教への信仰です。
 シャガールの絵には空中に浮かぶ人や動物がしきりに登場しますが、その構図はすでに20代の作品に現れています。
 この展覧会には‘幻の’《ユダヤ劇場壁画》シリーズ7点がすべて出品されています。モスクワの国立ユダヤ劇場の壁面を覆い尽くす作品で、もっとも大きい《ユダヤ劇場への誘い》は横8㍍近い大作です。
 《街の上で》は結婚した頃の作品で、シャガールと妻ベラとおぼしき二人が空中を浮遊しています。フワフワと体が浮き上がるような幸福感を味わっていたのだそうです。
 多くの作品の中で、愛と信仰を描いています。ヴァイオリンなどのいろいろな楽器の登場する画面からは音楽が聞こえてきそうです。
 油彩画のほかにテンペラ・版画・タペストリーに至るまで数多くの作品があり一通り見るのに時間がかかります。
 会期は今月25日までです。

主な作品は美術館HPで見ることができます。http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/ 

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                     彫刻プロムナード入り口の看板 

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                          静岡県立美術館

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2008年5月16日 (金)

「田園讃歌-近代絵画に見る自然と人間」展

 企画の優れた見応えのある展覧会でした。山梨県立美術館の開館30周年記念展です。
埼玉県立県立近代美術館では開館25周年記念展として昨年秋に開催されました。その後北九州・広島と巡回して山梨が最後です。
 学芸員のお話によるとこの企画展の案が最初に出されたのは6年前の2002年の夏のことだということです。埼玉が収蔵するモネ《ジヴェルネーの積みわら》山梨が所蔵するミレー《落ち穂拾い、夏》の二つの作品に共通するモチーフが【積みわら】だったことから
【積みわら】を中心としながら、それだけでなく広く農作業を中心とした田園風景を描いた作品で構成する企画展とし、日本の画家の作品や、版画・ポスター・写真などのアートも加えた展覧会になったのだそうです。
 日本では企画展というとピカソ、ゴッホ、ミレーなどの画家個人の作品展や印象派展などが多いのですが、その中では異例の企画と言えるでしょう。
 出品作品は約150点で、ミレーの作品は《落ち穂拾い、夏》のほか「乳しぼりの女」など7点、モネは《ジヴェルネーの積みわら》ほか3点、ピサロ10点、ゴーガン4点、ゴッホ4点 20世紀のマイヨールまでの西洋美術と、浅井忠・黒田清輝をはじめとする日本の画家の作品46点、13点のポスターのほか多くの写真があります。
 「19世紀フランスでは都市に住む人々にとって、田園風景はノスタルジックな思いをかき立てるもであり、絵画にあらわされた農村は理想郷にみなされ、収穫された穀物や星草を積み上げた大きな山は大地の恵みとされました。」(展覧会のパンフレットによる)。
 ミレー《落ち穂拾い、夏》は縦38.3㌢横29.3㌢の作品です。B4よりやや大きくA3よりやや小さいサイズです。後ろでわらを積み上げている4人は自作地を所有する豊かな農民でしょう。前面では畑を持たない貧しい農民のために地面に残された穂を拾う3人の女性が描かれています。積みわらは直径4-8㍍もあります。

 大学で西洋美術史を聴講している仲間が先生とともに20人で鑑賞しました。企画に当たった学芸員の方にこの展覧会の企画の趣旨を伺った後、主な作品について説明していただきました。展覧会全体のねらいや個々の作品について深く理解することができました。

 この展覧会は6月1日まで開催されています。常設展ではミレー《種をまく人》・《 ポリーヌ・V・オノの肖像》なども見ることができます。

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                      展覧会のパンフレット(表)

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                        裏

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                            梨県立美術館
 

 

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2008年4月30日 (水)

「クロード・モネの世界」展と「モディリアーニ」展

二つとも名古屋市で開かれています。
「クロード・モネの世界」展は名古屋ボストン美術館、「モディリアーニ」展は名古屋市美術館です。

「クロード・モネの世界」展 名古屋ボストン美術館 会期:4/26-9/28

名古屋ボストン美術館は金山駅前の金山南ビルにあります。アメリカ・ボストン美術館の姉妹館です。所蔵品は1点もなくすべてボストン美術館の所蔵品を展示しています。今年で開館10年目ですが、開館間もなくから赤字が累積しているため閉館の動きもありました。県・市・財界の支援によって当面は閉館の心配はないようです。

画像はクリックすると大きくなります。

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このビルの3,4階が美術館です。

この展覧会にはモネの作品24点のほか、同時代の印象派の画家の作品34点が展示されています。
モネの作品は初期から晩年まで網羅されていて彼の画業がよくわかるようになっています。
「睡蓮」「ルーアン大聖堂」「チャリングクロス橋」などの連作もあります。
同時代の画家では、マネ・ミレー・ルノワール・ピサロ・ドガ・シスレー・セザンヌなどが登場します。
いずれもボストン美術館が誇る印象派の所蔵品のごく一部です。
美術館のHPから作品のいくつかをご覧ください。

http://www.nagoya-boston.or.jp/

「アメデオ・モディリアーニ」展 名古屋市美術館 会期:4/05-6/01

名古屋市美術館開館20周年記念展です。
この美術館が所蔵する名画「おさげ髪の少女」をはじめ油彩画・水彩画・デッサンなど50数点の作品が展示されています。「横たわる裸婦」「母と子」などの作品もあります。
わずか35歳で夭折したこの画家の波乱に満ちた短い生涯がよくわかるように展示が工夫されています。
丁寧な年表、モデルの紹介、数年間彫刻に没頭してまた絵画の制作に戻った経緯・・。
長い首、細くて長い鼻、つぶれた目など一目でモディリアーニとわかる絵を多く見ることができます。
国内所蔵の作品のほか、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ポンピドゥーセンターなどからも出品されています。
現在、国立新美術館でも「モディリアーニ」展が同時開催されていますが、名古屋の展覧会の方が評価が高いようです。
 美術館のHPからいくつかの作品をご覧ください。
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/index.shtml

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