村上隆の「五百羅漢図」展
15日にこの展覧会の作品の一部をアップした展覧会の続編です。
村上隆(1962~)=一般的には「日本を代表する現代美術家・ポップアーティスト」などと称されていますが、村上の作品はこれまでのアートのジャンルを超える多様な顔を持っています。村上の作品は現代の日本の画家の中で突出した高額で
取引されています。世界の現存画家の中で高額所得者第6位というデータもあります。
制作方法も「工房方式」で、一つの作品の制作に多数の「職人」が関わるなど、日本の従来の絵画制作とは異なるスタイルを持っています。
今回の展覧会は国内で14年ぶりの本格的な個展です。すべての作品が国内では初公開です。その中でも注目されるのが「五百羅漢図」です。狩野一信の「五百羅漢図」(増上寺蔵)に倣って村上が制作したこの作品は100㍍に及ぶ超大作です。「玄武」「朱雀」「白虎」「青龍」の4点はそれぞれ25㍍で1室の両サイドに2点ずつ展示されています。
4部作で500人の羅漢が描かれています。アクリルで描かれた羅漢図は色が極めて鮮やかです。この作品の制作は全国の美大生200人以上を使って行われました。村上が構想を練り下絵を描き、学生に指示して作業を行わせています。会場には学生が作業して絵に村上が指示したメモなどが展示されています。
「指示書どうりにやれ!ぼけ!」とあります。中には「下手くそ!やめろ」などというのも見受けられました。
五百羅漢図は美術史家辻惟雄との対談で狩野一信の「五百羅漢図」に倣って村上独自の羅漢図をという提案を受けて制作したとのことです。
その他の作品から
〈宇宙の産声〉457㌢ 〈欲望の炎-金〉498㌢
2006年から今も制作中
以上ごく一部ですが、多様多彩な作品群です。村上は東京芸大大学院を終え、日本画として最初の博士号を取得しています。院を出た後間もなく日本画を離れ、現代アートの世界に入っています。
現代アートとは・・・「今日描かれた現代アートは5年後にはすでに現代アートではなくなっている」とは村上の言葉です。
国内よりも国外で注目されている画家です。〈五百羅漢図〉もカタールの首都ドーハの個人蔵です。2008年には米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれています。
時代の最先端を行くアートですが、この村上隆をどのように評価するのか・・・圧倒的に支持する人から嫌悪する人まで意見が分かれるところです。
展覧会は3月6日まで。六本木の森美術館です。
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