手嶋龍一氏の講演
静岡文化芸大で、外交ジャーナリストで作家でもある手嶋龍一氏の講演がありました。手嶋氏はNHKワシントン支局長時代の2001年9月11日から11日間連続でテロの現場からの中継を担当しました。
現在、文化芸大の参与として大学に関わっていますが、熊倉学長と懇意ということで、会場最前列には学長の姿もありました。
今日の講演は公開講座「世界情勢の現在を読み解く」の最終回で、「アジア半球の時代をどう生き抜くか」という演題でした。
・2015年は同時多発のテロの年
世界有数の警察国家であるフランスがISについての情報を持ちながらテロを事前に防ぐことができなかったことの衝撃
・ロシアとトルコの対立
プーチンがトルコの石油権益について触れたのは諜報機関のエリートであった彼らしい。情報を入手していたのであろう。
・原油価格の暴落について
今年世界一の産油国はサウジからアメリカに変わった。生産過剰でもOPECは生産調整をしない。暴落の要因はシェールオイルの産出による。条件のいい油田はコストが低いため価格低落に対応できている。
価格暴落の原因について日本のジャーナリストは正確に分析し、報道することをしないでいる。
シリアからトルコにかけてISが支配しているエリアは油田地帯と重なっている。ISは年間約600億円の利益を石油から得ている。
・2001年9月のテロは 「テロの世紀の始まり」であった。当時のブッシュ・ドクトリンで「無期限、無制限の戦争に入り、今も続いている」
・アジアの半球は、日本・中国・ASEAN・インドなど欧米を遙かに凌ぐ世界経済の巣新エンジンになっている。
しかし、危機の芽を孕んだ動乱の地域でもある。その一つが日中関係であり、尖閣諸島の問題である。日本画主権を持つ尖閣諸島に中国軍が上陸した場合、日本の自衛隊は出動することになるその場合、日米安保の関係でアメリカはどうするのか?
今日の講演の主題は「インテリジェンスを武器に日本がどう生き抜くかという」ということでしたが、途中でパワーポイントの画面が消えるハプニングがあってインテリジェンスの話は十分伺うことができませんでした。
ジャーナリストとしての豊富な経験、ホワイトハウスで築いた華麗な人間関係、大変な情報量と緻密な分析・・・知性あふれる内容の講演をソフトな語り口で興味深く聴くことができました。
随所に日本のジャーナリストに対する厳しい批判があり印象に残りました。
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