「秋の彩り」:平野美術館
秋の情景を描いた日本画の企画展で、9月4日にアトリエを訪問してお話を伺った栗原幸彦氏の作品も出品されています。
栗原氏の作品は5点。〈仲秋〉は、月明の宵の女郎蜘蛛とアザミを描いた作品です。〈秋日和〉は尾長鶏を描いた作品ですが、画面の下3分の2は尾長鶏独特の長い尾で印象に残ります。この絵を制作した当時、栗原氏は尾長鶏を飼育していたのではないかと思います。〈晩秋〉はオシドリの雌雄が紅葉したモミジの浮かぶ水面に遊ぶ姿を美しく描いています。
屏風は2点。六曲一隻の〈秋草図〉は琳派の趣です。銀地の上にススキ・クズ・ヨメナ・ワレモコウなどの秋草が描かれ、黒漆の月が照らしている美しい絵です。 〈鹿〉は5頭の鹿を描いています。
いずれもすてきな作品で、この企画展の重要な部分を占めています。
出品作品は48点。横山大観の〈皓月〉は月と海の波が朦朧体で描かれています。〈秋風〉は片ぼかしの技法で描かれています。
そのほかに、竹内栖鳳の小品〈椎茸〉、江戸前期の土佐派による
〈女房三十六人歌合〉、野島青茲、橋本関雪、平松礼二など江戸期から現代に至るまでの幅広い作品が出品されています。
ポスターやチラシに使われているのは澁澤卿の〈晨暉秋彩〉です。第42回春の院展出品作です。当麻寺の西塔と紅葉を描いています。
木の葉は1枚ずつ克明に描かれています。画面から秋の彩りを感じることのできる作品です。
会期は10月25日まで。
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