シューベルトの「オペラ」:平野昭先生の「音楽探訪」
毎年恒例のシリーズ「音楽探訪」…今年の主題は~知られざるシューベルト音楽の魅力~です。講師はおなじみの平野昭先生。静岡文化芸大に11年在職された後、現在は慶応義塾大学の教授です。
第1回は「劇音楽と宗教音楽」。歌曲王と言われるシューベルトの知られざる側面を教えていただきました。
シューベルトが残した曲は約1000曲。交響曲8、ピアノソナタ20余、歌曲600、合唱曲約120などのほかに劇場用作品が、そのうちにオペラが8曲あるということです。
私はこれまでシューベルトのオペラを見たことも聴いたこともありません。それもそのはずです。シューベルトのオペラはほとんど上演されていません。シューベルトが活躍した時代のウィーンではイタリアオペラが大人気で、シューベルトが作曲したオペラの初演はほとんどが
19世紀後半から20世紀後半にかけてということで、オペラの人気はなかったことがわかります。彼のオペラは魔法仕掛けで装置に経費がかかることやアリアばかりで芝居が少ない構成などがその要因とのことです。
DVDもほとんどないということで、この日はCDで≪アルフォンゾとエストレルラ≫の序曲と、≪ヴィラ・ベラのクラウディーネ≫のアリアの一部を聴きました。初めて耳にした珍しい曲です。
宗教音楽としては8曲のミサ曲のほかレクイエムなどがあります。シューベルトは5歳のころから10年ほど現在のウィーン少年合唱団の前身の少年合唱隊に在籍して音楽の知識を学んでおり、宗教音楽にも慣れ親しんでいたことから当然のことかもしれません。
平野先生のお話は18-19世紀のヨーロッパの歴史をバックにして当時の世相、音楽鑑賞の環境などに触れ、これまで我々の頭の中にあった虚像を打ち砕き、シューベルトの知られざる魅力を伝えてくださるすばらしいお話でした。
次回は「ピアノ音楽の魅力~ソナタと小品」でミニコンサートがあり、第3回は「リートと歌曲主題による室内楽」でやはりミニコンサートがあるので楽しみです。
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