三瀬夏乃介-雨土の記:展 秋野不矩美術館
秋野不矩生誕105周年記念特別展です。
三瀬夏之介は1973年生まれで現在40歳。現代最も注目されている日本画家の一人です。すでに20代から各種の展覧会に}出品し、30代はじめから数々の賞を受けています。2009年VOCA賞、2012年日経日本画大賞で選考委員特別賞。作品は文化庁、大原美術館をはじめ各地の美術館で収蔵されています。
今回の出品作品はわずか7点です。なぜ7点だけ?2階の展示室には〈奇景〉1点だけです。この作品は2003年から2010年まで次々と継ぎ足されてきた11枚の作品から成っています。その長さ4487.9㌢。約45㍍でこれからも継ぎ足されていく予定で完成まで何年かかるのか、全部でどれだけの長さになるのかわかりません。
1階には6点。〈空虚五度〉は272×1456の大作です。小さい作品は〈雨土の記〉と〈権現〉ですが、それでも182×272です。
どの作品もほとんどモノクロの世界です。麻和紙に青墨を主として絵を描き、その和紙を次々と張り重ねていく手法です。大きな絵の各所で重ねられた和紙が盛り上がっているのがよくわかります。描かれているのは日本の自然、寺院、仏像、石仏など彼の出身地奈良で見た風景が土台になっているものと思われます。巨大な絵の中に細かい描写が見られたり、ミニチュアの仏像がはめ込まれていたりという細工もあります。全体として日本の自然と風土を描いた作品と言えるでしょう。このような手法の作品を初めて見ました。
1階入口の展示室では秋野不矩の作品7点も特別出品されています。
㊧ 〈空虚五度〉(部分)
上:〈空虚五度〉
二段目㊧:〈権現〉
㊨:〈エディプスの子〉
三段目〈奇景〉(部分)
四段目㊧:〈日本の絵~沈める寺~〉
㊨:〈雨土の記〉
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