県民オペラ「夕鶴」
第4回県民オペラはおなじみの「夕鶴」でした。木下順二作・團伊玖磨作曲。国内外で800回以上上演されている名作を久しぶりに見ました。
演劇の「夕鶴」を初めて見たのは半世紀以上前のこと。山本安英のつう、宇野重吉の与ひょうでした。
前奏曲が終わって幕が上がると与ひょうが小型オート三輪を運転して舞台に登場するという意外な演出です。子どもたちは洋服を着てランドセルを背負っています。運ずと惣ども洋服でネクタイなど。このような設定にしたことについて演出の中村敬一は、團伊玖磨がこの曲を27歳で作曲した1951年の時代に合わせたと語っています。
「夕鶴」のオペラ化にあたって、木下順二は原作を一字一句たりとも変えてはならないという条件をつけたことを、芸術監督の伊藤京子は証言しています。
つうを演じたのは光岡暁恵。第5回静岡国際オペラコンクールで日本人として初の第1位に輝き、その後めざましい活躍を見せています。美しい高音が無理なく出るので聴きやすく、音量も豊かです。演技も見事で絶唱・名演でした。
男性陣はすべて県内出身者です。与ひょうは浜松出身の水船桂太郎、運ずは富士出身の高田智士、惣どは袋井出身の安藤宏隆。いずれもみごとな歌唱でした。
物欲・金銭欲に毒される人間と、純粋無垢の愛に生きるつうとの対比。欲望におぼれる人間の愚かさを笑うことはできません。人間に裏切られたつうの悲哀が胸を打ちます。
アクトシティ大ホールはほぼ満席の状態でした。
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