演劇「片付けたい女たち」
緞帳が上がるとそこに見えた舞台はまさにごみの山。デザイナーズマンションの1室全体が足の踏み場もないほどのごみに埋もれています。窓の外のベランダにもごみの袋が積まれています。これがツンコの部屋です。ツンコは勤め先の会社の人事をめぐって傍観者であった自分に嫌気がさしてこのごみの部屋に引きこもっています。
そこへ高校時代の同級生でバスケット仲間のおチョビとバツミが訪ねてきます。二人はごみの山に驚きながらも片付けを始めます。やがてツンコも加わって。
舞台に登場するのはこの3人だけで、最後までこの3人の膨大な量の会話でお芝居は展開します。
ごみの片付けをしながら3人はそれぞれの過去や現在の身の上話をします。部屋の住人ツンコは同棲していた年下の男性と別れた後です。おチョビは場末の食堂のおかみさん、バツミは子どものいない専業主婦でプチ整形をしたいと考えています。
雑紙、プラスティックなど仕分けをしながらごみの片付けは進んで行きます。
50代になった3人の仲間がこれまでの生きてきた道を振り返りながら、これからの生き方を考えていく。「片付けたい」のは部屋のごみの山だけでなく自分たちの人生でもあります。
この演劇は、「グループる・ぱる」の3人のユニットによるものです。その3人とは…松金よね子・岡本麗・田岡美也子。1986年の結成ですからすでに26年以上にわたって芝居作りを続けています。この3人の緊密なチームプレイが基本にあって永井愛が台本を書いています。速射砲ののように次々と交わされるせりふも違和感がなく自然に出てきます。
現代の中年女性の生き方をユーモラスに、そして切実に描いたよくできた演劇でした。
ステージのごみは芝居の進行とともにかなり片付きましたが、明日のステージのためにごみをまた大量に配置することになります。大変でしょうね。
浜松演劇鑑賞会第409例会 アクトシティ大ホール
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