「日本油彩画二百年」:静岡県立美術館
日本における油彩画は18世紀後半に司馬江漢などによって制作されていましたが、油彩画を本格的に学び始めたのは、1871年に高橋由一が物産会で油彩画を展観したのがはじまりでした。
この展覧会では油彩画前史の司馬江漢(4点)に始まり、黒田清輝(5点)、川村清雄(4)、浅井忠(1)、和田英作(2)など油彩画を開拓した明治期。
さらに油彩画が隆盛期を迎えた大正から昭和にかけての佐伯祐三、安井曾太郎、海老原喜之助、児島善三郎、萬鉄五郎、小絲源太郎、北川民次、小林和作、岡鹿之助、曽宮一念(8点)など日本の洋画壇を代表する画家たちの作品96点が出品されています。
日本の画家たちが洋画をどのように受容し、ヨーロッパの画家の大きな影響を受けながらもそれぞれの画家が個性豊かな油彩画を創りあげてきたことがよく理解できる展示になっています。
基本的なコンセプトは風景画を中心とするこの美術館の収蔵品によって日本の油彩画の歴史を解明しようということで、大胆な企画と言えるかもしれません。96点のうち館蔵品が8割を占めています。
最後の将軍徳川慶喜の《風景》など静岡にゆかりの深い人物や静岡が生んだ画家の作品も多く見られます。
日本における洋画の歴史を語る上で欠かせない高橋由一の作品が1点もないのはさみしいことです。先月、東京芸大で高橋由一展を見てきたばかりなので
いっそうその感を深くします。
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