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2012年3月 9日 (金)

「松井冬子展」:横浜美術館

 教え子たちと東京で再会した翌日横浜へ向かい、一緒に「松井冬子展」を観ました。私が松井冬子の作品を初めて見たのは2008年秋のことです。10月から12月にかけて浜松の平野美術館で「松井冬子展」が開かれました。この個展には平野美術館所蔵の《浄相の持続》をはじめ、代表作の1つで今回の展覧会のテーマになっている《世界中の子と友達になれる》など30点余が出品されました。

 自殺した女性がはらわたを出し、子どもを宿した子宮を露出させて横たわっている姿を描いた《浄相の持続》からは、これまで観たことのない強烈な印象を受けました。代表作の1つで今回の展覧会のテーマになっている《世界中の子と友達になれる》も出品されていました。彼女の個展としては初めての本格的な展覧会が出身地の森町に近い浜松で開かれて一躍注目されました。

 今回は公立美術館で初めての大規模な個展です。絹本着色の日本画をはじめ、下絵、小下絵、下図、大下図など制作過程がよくわかる資料など107点の出品でまさにこれまでの松井冬子の全画業を一望する大規模な展覧会になっています。

 下絵から大下図、完成作品までのプロセスを見ると彼女が周到な準備を重ね、試行錯誤しながら作品を仕上げていったことがよくわかります。《世界中の子と友達になれる》に描かれている藤の花は磐田市の行興寺の「熊野(ゆや)の長藤」で、そのスケッチも出品されています。藤の花房の下部には無数のスズメバチが描かれていますが、ハチを描くために駆除業者からスズメバチを送ってもらってデッサンしたとか、子牛のデッサンをするためにアトリエの冷蔵庫に子牛の死体が貯蔵してあったとか…。

「恐怖」「狂気」「痛み」を表現した作品と、現代日本を代表する美しい女性とされる彼女の美貌との大きなギャップにとまどうこともあります。

 彼女の作品のうち《浄相の持続》は彼女の自画像だとも言われていますが、この絵は女性の強さを表したものという解釈があります。女の強さ、性、生と死…彼女の描くテーマです。幽霊を描き、内臓を描き、死者を描いたとしても究極のところでは生の尊厳につながるのではないかと考えられます。

 《短時間の強力な蘇生術を行うについて特に必要とされるもの》《ややかるい圧痕は交錯して網状に走る》《終極にある異体の散在》など画題は長くきわめてわかりにくいものが多く、またキャプションが長くて難解なので疲れます。

今国内の画壇でもっとも注目されている一人が松井冬子です。彼女は東京で生まれて間もなく静岡県周智郡森町へ。高校(袋井高校?)を終えるまで遠州の小京都森町で過ごしています。22歳までは油彩画でしたが日本画に転向して東京芸大に進みました。

 今回の展覧会の作品を見ても伝統的な日本画の技法を駆使した上でさらに新しい技法を開発していることがわかります。

 横浜美術館はみなとみらいの一角にあります。JR桜木町駅から動く歩道で行くことができます。私は初めて行きましたが立派な美術館でした。

  会期は3月18日までです。他の会場への巡回はありませんのでぜひ横浜でご覧ください。

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主な作品については美術館の公式サイトでどうぞ。http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2011/matsuifuyuko/work.html

 

 

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