「ルドンとその周辺」展:浜松市美術館
ルドン(1840-1916)は19世紀後半から20世紀にかけてのフランスの画家です。印象派の画家たちが光の印象を鮮やかな色彩で描いていた同時代に、黒一色の画面に幻想の世界を描いていました。
今回の展覧会では1階の展示作品68点のうち60点以上が黒の世界でやや異様な感じがします。そのほとんどがリトグラフ、エッチング、木炭などによる小品ですから誠に地味です。
これらの作品の中には断頭や目玉などの特異な題材のほかに、笑う蜘蛛などのような一見ユーモラスな作品もあります。これらの作品はいずれも幻想の世界を描いたものです。
2階の会場へ回ると一転して鮮やかな色彩の世界が広がります。50歳を迎えた1890年頃から油彩、水彩、パステルによる作品を制作しました。画材は異なっても黒の時代と同じく幻想の世界やルドン独自の精神世界を描いています。
2階ではルドンと同時代の画家たちの作品も出品されています。ゴーギャン12点、ドニ2点、ムンク3点など19世紀後半から20世紀初頭にかけての51点。中には彫刻家マイヨールの油彩画《山羊飼いの娘》もあります。
同時代の画家とは作風が大きく異なる幻想の世界を描いたルドンの貴重な展覧会です。
出品作品は1点を除いて全て岐阜県立美術館の所蔵品です。
会期は今週末からの3連休(10日)までです。
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