「アルプスの画家 セガンティーニ」展:静岡市美術館
セガンティーニ(1858-1899)は19世紀末のイタリアの画家です。28歳の時にアルプスへ移り住み、その後の短い生涯を通じてアルプスの自然と人を描き続けました。
初期の作品は明暗法を用いており、モノトーンに近い暗い画面の中で明るい光を受けた部分が強い印象を与える作品がいくつか見られました。
《白いガチョウ》は白いバックの中に白いガチョウをみごとに描いており、すぐれた技術を発揮していることがわかります。
アルプスに移ってからは澄んだ光の中で山々と麓の草原の美しい自然を明るい色調で描いています。色彩分割技法という独特の技法で描かれたアルプスの自然は明るく、美しく見る者の前に迫ってきます。《アルプスの真昼》(1891年)はその代表です。その美しいアルプスの自然の中に、セガンティーニは「生命」「母性」「虚栄」などのテーマを表現しています。
彼の代表作と言われる《アルプス三部作》(生・自然・死)は出品されていませんが、それらの習作を見ることができます。
いくつかの作品に見られる母子像は聖母マリアを思わせますが、こえは彼が5歳の時に病死した母への愛の表現なのでしょうか。
展示の最後にジャコメッティが登場します。セガンティーニと交流があったジャコメッティが未完成で残したセガンティーニの作品を補作した《ふたりの母たち》や死の床のセガンティーニを描いた作品などが興味を引きました。
国内では33年ぶりのセガンティーニ展ですが、約60点の作品から画家の全貌に迫る充実した展覧会でした。
明日23日で静岡の会期は終わり、この後11月23日に損保ジャパン東郷青児美術館で東京展が始まります。
主な作品は公式サイトでごらんください。http://www.shizubi.jp/exhibition/future_110903.php
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