2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 芸術の花開く都市展:静岡県立美術館 | トップページ | 大英博物館 古代ギリシャ展:国立西洋美術館 »

2011年8月21日 (日)

青木繁展:ブリヂストン美術館

 青木繁(1882/7/13-1911/3/25)は夭折した明治期の画家で、日本美術史上に残る優れた作品を残しています。今年は青木が28歳8ヶ月の若さで没して100年にあたります。それを記念する大回顧展です。 

 青木は東京美術学校(現・東京芸大)在学中から高い評価を得ています。年1903年、21歳の年に《神話画稿》で第8回白馬会展で白馬賞を受賞。、翌1904年、美術学校を卒業した夏にもっとも有名な作品《海の幸》を描いています。この頃が青木の絶頂期であるとされています。1907年には代表作の一つである《わだつみのいろこの宮》を三年がかりで完成させています。日本の神話をテーマとして描いたこの力作は三等賞という低い評価にとどまりました。彼は中央画壇を厳しく批判し、父の危篤で単身久留米に帰郷したこともあり、以後中央画壇から離れ各地を転々とする放浪の生活に入ります。

 青木は日本を代表する浪漫主義の画家であり、旧約聖書や古代の神話に題材を得て心象風景を描く作品を残しました。

 《海の幸》は千葉の海岸の砂浜を10人の男女が裸体で獲物の大魚を担いで運ぶ様を描いています。過酷な労働とか、漁獲の喜びとか、現実の社会の様相ではなく、もっと根元的な人間存在を表現したものととらえる見方もできます。

 《わだつみのいろこの宮》は古事記を題材としています。兄から借りた釣り針をなくした山幸彦が、海底にある「魚鱗(いろこ)のごとくできた宮殿」に探しに行った場面を描いています。縦長の画面の左にはトヨタマヒメが丁寧に美しく描かれています。海中の場面でヒメの足元からは泡が立ち上っています。

 この二つの作品はいずれも国指定の重要文化財で、所蔵はいずれも石橋財団石橋美術館です。青木は久留米出身でありブリヂストンの発祥の地も同じく久留米。同郷の縁もあり、石橋財団は多くの青木作品や資料を所蔵しています。

 今回の大回顧展には油彩画70点、水彩・素描30点、手紙などの資料70点が出品されています。青木の画業はわずか10年。作品の数も多くはありません。久留米に帰郷してからの末期の4年間の作品は絶頂期の作品のようなロマンや輝きが乏しくなっています。

 結核に冒され収入もほとんどなくなり、手紙を出すのさえままならない様子が記された手紙もあります。愛人だった福田たねとの間には幸彦と名付けた男の子がいましたが、青木の母はそのことを青木が没するまで知りませんでした。没後福田の親にあてて青木の母が書いた詫び状もあります。

 天才画家と言われた青木繁の全生涯を顧み、作品を鑑賞する絶好の機会です。石橋財団でなくてはできない企画かもしれません。

 8月21日朝のNHK日曜美術館の特集でこの展覧会がとりあげられました。再放送は28日夜です。

主な作品は展覧会の公式サイトでごらんください。

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/

S2011_08200004_2 S2011_08200005
ブリヂストン美術館で(8/20)

 

 

« 芸術の花開く都市展:静岡県立美術館 | トップページ | 大英博物館 古代ギリシャ展:国立西洋美術館 »

美術展」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 青木繁展:ブリヂストン美術館:

« 芸術の花開く都市展:静岡県立美術館 | トップページ | 大英博物館 古代ギリシャ展:国立西洋美術館 »