劇場版アニメ「コクリコ坂から」
1980年に少雑誌「なかよし」に連載された漫画をアニメにした作品です。製作はスタジオジブリですが、監督は宮崎駿ではなく息子の吾朗です。
舞台は1963(昭和38)年の横浜、主人公は港を見下ろす丘にある男女共学の私立高校の生徒です。この年の高校生は1945-47年生まれ…ということはまさに団塊の世代です。東京オリンピックと東海道新幹線開通の前年で経済の高度成長が進行中のことです。
16歳の少女・海(うみ)と17歳の少年・俊…二人の出会いと愛の芽生え、亡くなっている二人の父親は実は同じ人だったという衝撃の事実に揺れ動く二人の気持ち。
学校では生徒たちがカルチェラタンと呼ぶ文化部の部室になっている洋風の建物の保存活動を展開しており、俊はその先頭に立って活動しています。理事長との直接対話で保存を勝ち取るまでのプロセスがもう1本の大きな柱になっています。
1960年代前半の横浜…舗装されていない道路を三輪車が砂埃を巻き上げて走り、手動で絞る洗濯機が活躍している時代、どこから見ても昭和30年代そのものです。
カルチェラタンと呼ばれる建物は現存していれば文化財クラスと思われる風情のある立派な建物です。この建物をはじめ木造の多い横浜の町並みや当時の自動車など30年代の風景が忠実に再現されるのは実写ではないアニメの強みかもしれません。
カルィエラタンの保存を求めて集団で行動する生徒たちは高校生というよりも大学生という感じです。
当時の主人公と同じ団塊の世代の人にとっては懐かしい場面の連続だと思われます。自分の青春時代に重ねて見ることができます。ジブリのアニメとしては熟年向きの作品で若い人には感動を与えることが少ないかもしれません。
題名の’コクリコ’はフランス語でヒナゲシ(虞美人草)のことです。主人公・海の住む屋敷の庭にコクリコが咲いています。横浜の港を見下ろす丘の上に家があり、学校があります。
見終わってさわやかさと懐かしさを感じたアニメでした。
公式サイト http://kokurikozaka.jp/
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