野村萬斎監修 新しい感覚の能・狂言 「邯鄲」&「二人袴」
わかりやすくて楽しい能と狂言でした。鈴木康友浜松市長のあいさつに続いて野村萬斎と観世喜正による解説がありました。それぞれ約10分、狂言と能、そしてこの日の演目についての丁寧な解説でした。
監修の萬斎によると今日の能「邯鄲」は舞台・照明などに新しい試みを取り入れているとのこと、さらに狂言では難しい言葉についてはバックのスクリーンに解説が字幕が出ること、能についてはすべてのせりふが字幕で「同時通訳」のスタイルで出ることなどの説明がありました。
そして…萬斎が狂言の酒を飲む場面で謡う「酌謡」のなかに「ざゞんざ 浜松の音は ざゞんざ」という謡があるということで謡いました。萬斎の謡に続いて会場のみんなで謡いました。浜松には今でも「ざゞんざ織」という織物があります。
狂言「二人袴」は底抜けに楽しい演目で、場内は終始笑いに満ちていました。萬斎が親を、萬斎の父万作の外孫である野村遼太が婿を演じました。遼太は今年20歳です。
能「邯鄲」は唐代の伝奇小説「枕中記」を引用した「太平記」を題材に作られたと言われています。
主人公の蘆生はこの曲の中で3段階に 成長していきます。最初は悩み多い青年で人生に迷って旅に出ます。次に不思議な枕で一眠りするうちに王位につき、栄華を極めます。眠りから覚めて全てが一炊の夢であったことを知り悟りの境地に達します。
舞台では右手に一畳ほどの台が置かれその台の四隅に赤い柱があるだけです。この一畳台が宿屋の寝室であり、一瞬のうちに宮殿の玉座の間に変わります。そして使者が扇で二度叩くとまた寝室に戻ります。
秋の紅葉、雪の冬、日差しが明るい昼間、月明の宵…その都度照明が鮮やかに転換してそれぞれの場面の雰囲気を出していました。
「邯鄲」はインパクトが強く一度見ると忘れることのできない演目です。幸せとはなにか、生きるとはどういうことか考えさせらます。
バックのスクリーンにはせりふが字幕で出るのでこの曲の内容がよくわかりました。能では初めて見ました。萬斎の話では能に対する理解を少しでも深めてもらってリピーターを増やしたいということでしたが、その目的は十二分に果たしたのではないでしょうか。
今回の公演は浜松市制100周年記念として行われました。浜松での能・狂言の公演は
平成3年、市制80周年を記念して始められ平成19年まで17回続き、今回4年ぶりで復活しました。
会場はアクトシティの展示イベントホールの特設会場でした。浜松の能・狂言はこれまで屋外で行われることが多かったのですが雨天中止を心配して屋内を選んだということです。約1400の座席は満席の盛況 でした。
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