「家康と慶喜 徳川家と静岡展」:静岡市美術館
静岡(旧・駿府)は家康が幼少時代に今川の人質として7歳から19歳までの12年間を過ごし、さらに大名時代に4年間、将軍を引退して大御所となってからも没するまでの9年間、合わせて25年間を過ごした土地です。
最後の将軍第15代慶喜は大政奉還後の1869年から1897年までの28年間を静岡で過ごしています。
静岡市美術館開館記念展の第2弾として企画されたこの展覧会は徳川家にゆかりの深い静岡にふさわしい展覧会です。
出品目録には347点が記載されていますが、会期を6期に分けて展示替えをしているため私が観た23日に出品されているのは約190点でした。
全体は2章6節で構成されています。
第1章 家康 第1節 戦国の覇者 第2節 駿府繁栄 第3節 家康の姿
第2章 慶喜 第1節 最後の将軍 第2節 文人・慶喜-書画・写真・油彩画 第3節 徳川 家達と静岡誕生
もっとも出品点数の多いのは第2章第2節です。ここでは慶喜が撮影した写真や油彩画が多数出品されています。
国の重要文化財が14点ありました。その一例として…
◎刀 義元左文字 (常に天下を取る者、狙う者が持つ刀)
◎歯朶具足 (家康が関が原の戦いで使用した鎧)
◎洋時計 (1581年マドリッド製)
◎肩衝茶入 銘 初花 (徳川将軍家伝来の名品中の名品)
◎東照大権現像(霊夢) (家光が夢見た神君家康の肖像。狩野探幽筆)
以上の名品5点は美術館の公式サイトで画像を見ることができます。
そのほかに、家康が用いた杖や太刀2点、茶壷、茶碗、火縄銃、伽羅、静岡版銅活字、駿河版「群書治要」などの重文もありました。
17-18世紀の駿府の様子を伺い知ることのできる「駿府鳥瞰図」「駿府城下行列図屏風」などもあって興味深く見ることができました。
第2章は引退後趣味の世界に生きた慶喜の多彩な活動を示す作品が数多く出品されていました。
慶喜が撮影した写真は浜名湖、舘山寺、弁天島、天竜川河口、安倍川、久能山、臨済寺などの風景写真のほか身内の人物、ネコなど多様です。
風景を描いた油彩画はみごとな腕前です。書も実に達筆です。自転車や自動車で走り回って事故を起こしたこともあると伝えられている慶喜は1897年(明治30年)まで静岡で暮らしました。その後東京に移り1913年(大正2年)に没しました。
慶喜の風景画、書、愛猫の写真などは上記のサイトにありますのでご覧ください。
静岡県人、静岡市民としては見逃せない充実した展覧会です。会期は30日(日)まで。
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