「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」
8月6日は広島の、明日9日は長崎の原爆記念日です。そして3月1日は…1954年に焼津の漁船第五福竜丸がビキニ環礁でアメリカの水爆実験による大量の死の灰を浴びた日です。
無線長の久保山愛吉さんは「放射能症」で9月23日に亡くなりました。久保山さんは「原水爆の被害者はわたしを最後にしてほしい」という言葉を残して。
「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」は、ベン・シャーンが第五福竜丸を描いた連作に、アーサー・ビナードが日本語の詩をつけた絵本です。
ベン・シャーン(1898-1969)はリトアニア生まれのアメリカ人で20世紀のアメリカを代表する画家の一人です。社会派リアリズムの画家で、第五福竜丸の連作もその一つです。この絵本の絵は「鯉のぼり」や「焼津の家並み」に始まり、水爆投下の瞬間や久保山さんの死、放射能の雨、麦畑などの油彩画と黒の線描画で構成されています。いずれもみごとな絵です。
これらの絵に日本語の詩をつけたのがアーサー・ビナード(1967~ )です。アメリカ…ミシガン州生まれで1990年に来日、詩人・俳人・翻訳家。2001年中原中也賞。
この絵本は二人のコラボレーションということになりますが、ベン・シャーンが没したときビナードは2歳ですからもちろん面識はありません。
「久保山さんのことを わすれない」とひとびとは いった。けれど わすれるのを じっと
まっている ひとたちもいる
ひとびとは 原水爆を なくそうと 動きだした。
けれど あたらしい原水爆を つくって つかおうと かんがえる ひとたちもいる。
実験は その後 千回も 二千回も くりかえされている。
ビナードの詩は忘れてはならない大切なことを私たちに伝えてくれています。
8月3日の「天声人語」冒頭にこの絵本をとりあげていました。
「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」:
絵 ベン・シャーン 構成・文 アーサー・ビナード 集英社 1680円
◎第12回 日本絵本賞
◎「この絵本が好き」 2007年版国内部門第3位 など
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