鶴瓶の名演技に感嘆! 映画「おとうと」
山田洋次監督と吉永小百合の組み合わせとあれば見ないわけにはいきません。
東京で小さな薬局を営み娘と2人で堅実に生きてきた吟子(小百合)と、吟子の実の弟で子どもの頃から問題ばかり起こしている鉄郎(鶴瓶)との切るに切れない肉親の情を描いています。
鉄郎は酒に酔って吟子の一人娘小春(蒼井優)の結婚式を台無しにしてしまったり、愛人からの高額の借金を姉の吟子が肩代わりすることになったり・・吟子はまともに付き合ってはいられない弟と絶縁します。
連絡のとれなくなった鉄郎ががんに冒されて余命いくばくもないことがわかり大阪へ駆けつけた吟子は鉄郎の最後を看取ります。
自分の名付け親である鉄郎を嫌う吟子の一人娘小春、小春の初婚の相手であるエリート医師との離婚、腕のいい誠実な大工亨(加瀬亮)と吟子との再婚など様々な人間模様が描かれます。
社会の底辺でなんとか生き延びてきた鉄郎は憎めない人物です。その鉄郎を鶴瓶が時には軽妙にまた無邪気に、時には傷ついた男の寂しさをしんみりと、そして終幕ではがんに冒されて命耐えるまでの終末期の患者の生き様をリアルに、実に見事に演じています。
小百合は相変わらず美しく、誠実で賢い姉を懸命に演じていますが、この映画では鶴瓶に主役の座を譲っている感じです。
小春の蒼井優はとびきりの美人ではありませんが、母と叔父との間にあって揺れ動く微妙な感情を繊細に表現しています。
小春の再婚相手の加瀬亮も好感が持てます。
脇役が豪華です。吟子の母に加藤治子、兄に小林稔持、そのほか笹野高史、小日向文世、森本レオ、石田ユリ子など。
切っても切れない家族の絆の強さ、親子の関係、夫婦の関係など家族の在り方を考えさせてくれます。
笑いと涙が交錯して心にしみる映画でした。「アバター」にはない確かな感動があります。
私が見た17日(火)は観客4人でした。浜松と浜北での上映は19日(金)までです。
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