「スカパンの悪だくみ」観劇記②
静岡芸術劇場は東静岡のグランシップという巨大な県営施設の一角にあるSPAC(静岡県舞台芸術センター)専用の劇場です。舞台と客席が同じスペースを持つ演劇専用の劇場で客席は400です。どの座席からも見やすく、内装の美しい優れた劇場です。
県が全額出資しているSPACは専用の劇場と俳優、さらに専門の技術スタッフを抱えています。
芸術総監督は鈴木忠志が1997年から2007年までの10年間務めた後、2007年からは宮城聡が務めています。人事権と予算執行権を持っています。
Shizuoka春の芸術祭の最後を飾る「スカパンの悪だくみ」はフランスの喜劇作家モリエール(1622-1673)が晩年の1671年に書いた作品です。当時のフランスはルイ14世の時代でブルボン王朝の絶頂期でした。
「スカパンの悪だくみ」は全三幕の散文喜劇です。悪知恵のきく召使いのスカパンが立て板に水のでまかせと機知に富んだ策略で登場する人すべてを巻き込んで難題を解決しようとするたくらみが次々と展開されるというお話です。最後にアッと驚く展開が待ち受けています。
二組の父親たちと二組の息子たち、その恋人が二組に召使いも二組といずれもペアになってドラマは進行します。
二組の父親・・と書きました。原作ではそうなっています。ところが・・ステージでは一人の父親と一人の母親という設定になっていて驚きました。公演後、演出のオマール・ポラスに対するインタビューが行われました。私は所用のため聞くことができなかったのですが、インタビューの中で、そのことについての質疑応答があったのではないかと思います。
登場する役者の演技がいずれも抜群です。いささかオーバーな演技も目立つのですが、喜劇にはふさわしいのかも。みんな仮面をつけています。観客席から出入りしたり、観客に演技を要求したり・・。
出演したテアトロ・マランドロはジュネーブ郊外に本拠を置いて活動しています。せりふはフランス語で、ステージ上部に字幕スーパが出ます。途中で「明日は県知事選挙の投票日です。投票に行きましょう」と出たのには笑えました。父親役の役者のせりふでした。今日5日は全国から注目されている静岡県知事選挙投票日です。
軽快なテンポで展開されるコメディに引き込まれて時間が過ぎるのも忘れて見入った1時間45分でした。
浜松から会場まで無料のバスが運行されたので利用しました。大型の貸し切りバスに文化芸大の先生と学生が10人ほどと聴講生の仲間5人など20人弱でガラガラでした。バスの中でOさんに借りた原作(岩波文庫・鈴木力衛訳)を読みました。東名静岡インターを出る前に読了。というわけでドラマの展開もよくわかりました。
左:芸術総監督宮城聡さん。正面から撮らせていただきました。開演前には客席入り口でお出迎え、終演後は玄関でお見送りでした。
中:グランシップ。芸術劇場は向こう側、富士山が見える側にあります。
右:芸術劇場玄関
SPAC HP:http://www.spac.or.jp/index.html
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