「石田徹也と静岡県ゆかりの画家」展
石田徹也は1973年焼津に生まれ、2005年東京で踏み切り事故のために31歳で亡くなった画家です。
1992年焼津中央高校を卒業、1996年武蔵野美術大学を卒業。その後アルバイトをしながら作品の制作に没頭しました。1996年、第64回毎日広告デザイン賞優秀賞、2001年VOCA展2001奨励賞などを受賞しています。
彼の作品に登場する男性はほとんどすべて同じ顔をしています。会場の一角に展示してある生前の彼の写真を見ると作品に描かれた男性が彼自身によく似ていることがわかります。しかし、彼自身は自画像であることを否定しています。
彼の作品は現代の社会に生きる人の不安や管理に対する反発の感情、現代の文明に対する風刺を鋭く描いています。道具や機械と一体化した人間像、中には便器と一体化した男の姿もあります。
20代後半の作品には看護士や消防士が登場します。彼自身が救いを求めているということも考えられます。
彼の作品の特異な題材と制作手法は従来の絵画にはないもので見る人に強烈な印象を与えます。彼の死後、NHKをはじめテレビ局が特集番組を放送するなどして一躍注目を浴びるようになりました。
亡くなって2年後、故郷焼津で3月に、静岡県立美術館で7月に展覧会が開かれました。私はその両方を見ました。
今回の展覧会は静岡県立美術館が所蔵する彼の作品で構成されています。出展作品は代表作と言われる「飛べなくなった人」など72点です。
彼の作品は公式HPに143点アップされているのでご覧ください。
2階では静岡県ゆかりの画家展です。曽宮一念・北川民次・中村岳陵・梅原龍三郎・横山大観・秋野不矩などの作品44点です。
会場で作品の解説パネルが2カ所で作品とは違う内容で驚きました。石田の「クラゲの夢」の解説が「鯉の夢」に掲示されていました。見ている人は絵の中にクラゲを探すのですがどこを見てもありません。2階では「富士山」の絵に、京都・東山の絵の解説が掲示されていました。係員を通じて学芸員に連絡していただき、クラゲの方は正しい位置に掲示されましたが、富士山の方はパネルがないようでした。
会期の初日とは言え、珍しいことがあるものです。
会場:浜松市美術館 会期 4/18-5/17
10日前は桜の季節だったのですが、今日は八重桜と藤そして新緑の風景でした。
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