二つのピカソ展
14日まで東京の二つの美術館で行われていた展覧会です。12日に見て半月以上が過ぎたので記憶があいまいな部分もあります。
国立新美術館では「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」展、サントリー美術館では「巨匠ピカソ 魂のポートレート展」です。
国立ではピカソ23歳から90歳までの167点が出展されていました。かなりの点数ですが、ピカソの作品は油彩画だけで13000点以上あると言われていますので、これでもほんの一部です。
約170点の作品が年代順に8つに分けて展示されていました。青の時代・バラ色の時代・キュビスムの時代・新古典主義の時代・シュルレアリスムの時代・ゲルニカの時代・戦後の時代など、ピカソの全生涯をこれらの作品を通じて一通り展望できるようになっていました。
サントリーでは自画像を中心とするポートレート58点が、5つの時代に分けて展示されていました。19歳から90歳までの作品です。
合わせて230点近い作品からピカソの生き方、芸術観、政治とのかかわり、戦争への意識などいろいろなことを知ることができます。
とりわけ、ピカソが愛した何人もの女性はそれぞれモデルとして作品に描かれただけでなく、、その時々の女性との関係が絵画の表現法に大きな影響を与えていたことがよくわかって興味を引きます。同じ年の作品でも、モデルによって女性の描き方がまったく違っていて同年代の作品とは思えないこともあります。
国立新美術館の167点のうち女性をモデルとした作品が油彩画を中心として約90点と過半数を占めています。
この二つの展覧会でピカソをめぐる女性に視点を当てて見てみました。
彼の生涯に名を残す女性は7人です。
①オリヴィエ 20代のピカソの最初の恋人
②エヴァ 1915年に癌で死去
③オルガ ロシアのバレリーナ 1918年結婚 後に別居 1955年オルガが死ぬま で離婚できなかった
④マリー・テレーズ 1927年、45歳のピカソは17歳の彼女に出会い、32年から同居
⑤ドラ・マール カメラマンで画家 1936年に出会い45年まで
⑥フランソワーズ 1943年に出会い、46年同居 53年にフランソワーズの方から出て行き、他の男と結婚
⑦ジャクリーヌ 1954年に出会い、オルガの死後の61年に結婚。ピカソ79歳
左:《肘掛け椅子に座るオルガの肖像》 1918年
中:《マリー・テレーズの肖像》 1937年
右:《ドラ・マールの肖像》 1937年 この当時ピカソは二人を愛していた
左:《泣く女》 1937年 ドラ・マール 彼女は当時ピカソの奔放な女性関係に悩み、精神的に疲れていた。上右の絵と同じ年のドラ・マールです
中:国立新美術館のちらしの表。《ドラ・マールの肖像》
右:ちらしの裏
サントリー美術館のちらしから
左:《自画像》 1901年・20歳
右:左から①《自画像》 1906年②《牧神パンの笛》 1923年③彫刻家 1931年④《ヴェールをかざす娘に対して、洞窟の前のミノタウルスと死んだ牝馬》 1936年
ピカソ展はこれまでに数多く見ましたが、2002年秋に上野の森美術館で見た「ピカソ 天才の誕生」展は今でも鮮明に記憶に残っています。
こ展覧会はピカソ9歳から22歳までの13年間に焦点を当てて、200余点の作品で天才ピカソ誕生のドラマを見せてくれました。
同展のちらし 《初聖体拝領》 14歳・166×118の大作
まさに天才の描写力です
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