「田園讃歌-近代絵画に見る自然と人間」展
企画の優れた見応えのある展覧会でした。山梨県立美術館の開館30周年記念展です。
埼玉県立県立近代美術館では開館25周年記念展として昨年秋に開催されました。その後北九州・広島と巡回して山梨が最後です。
学芸員のお話によるとこの企画展の案が最初に出されたのは6年前の2002年の夏のことだということです。埼玉が収蔵するモネ《ジヴェルネーの積みわら》山梨が所蔵するミレー《落ち穂拾い、夏》の二つの作品に共通するモチーフが【積みわら】だったことから
【積みわら】を中心としながら、それだけでなく広く農作業を中心とした田園風景を描いた作品で構成する企画展とし、日本の画家の作品や、版画・ポスター・写真などのアートも加えた展覧会になったのだそうです。
日本では企画展というとピカソ、ゴッホ、ミレーなどの画家個人の作品展や印象派展などが多いのですが、その中では異例の企画と言えるでしょう。
出品作品は約150点で、ミレーの作品は《落ち穂拾い、夏》のほか「乳しぼりの女」など7点、モネは《ジヴェルネーの積みわら》ほか3点、ピサロ10点、ゴーガン4点、ゴッホ4点 20世紀のマイヨールまでの西洋美術と、浅井忠・黒田清輝をはじめとする日本の画家の作品46点、13点のポスターのほか多くの写真があります。
「19世紀フランスでは都市に住む人々にとって、田園風景はノスタルジックな思いをかき立てるもであり、絵画にあらわされた農村は理想郷にみなされ、収穫された穀物や星草を積み上げた大きな山は大地の恵みとされました。」(展覧会のパンフレットによる)。
ミレー《落ち穂拾い、夏》は縦38.3㌢横29.3㌢の作品です。B4よりやや大きくA3よりやや小さいサイズです。後ろでわらを積み上げている4人は自作地を所有する豊かな農民でしょう。前面では畑を持たない貧しい農民のために地面に残された穂を拾う3人の女性が描かれています。積みわらは直径4-8㍍もあります。
大学で西洋美術史を聴講している仲間が先生とともに20人で鑑賞しました。企画に当たった学芸員の方にこの展覧会の企画の趣旨を伺った後、主な作品について説明していただきました。展覧会全体のねらいや個々の作品について深く理解することができました。
この展覧会は6月1日まで開催されています。常設展ではミレー《種をまく人》・《 ポリーヌ・V・オノの肖像》なども見ることができます。
裏
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