シャガール展・・色彩の詩人 静岡県立美術館
シャガール(1887-1985)はロシア西方(現在はベラルーシ)の町ヴィテブスクで生まれたユダヤ人です。ベルリン・パリ・ニューヨークなどに移り住み、1947年から亡くなるまではパリで生活しています。アンドレ・マルローの尽力によってニース市に国立シャガール美術館が建設されました。
シャガールは長命で97歳で亡くなっています。この展覧会には20代初期の作品から80歳を過ぎた晩年の作品まで150点余が出品されています。80歳を過ぎてから取り組んだ大作には驚嘆します。
シャガールは独特の色彩感覚と画面構成で愛・信仰・故郷の情景などを幻想的に描いています。「ヴァイオリン弾き、婚礼の祝祭、村人、牛・ヤギ・ロバ・鶏などのモティーフは、シャガールが幼少期に故国、とりわけ生地のヴィテブスクで見ていたもの」で、「忘れ得ぬ故郷の思い出は、ノスタルジアとなって、シャガールの芸術を貫いています。」(展覧会パンフレット)。
ノスタルジアとともに彼の絵を貫いているのがユダヤ教への信仰です。
シャガールの絵には空中に浮かぶ人や動物がしきりに登場しますが、その構図はすでに20代の作品に現れています。
この展覧会には‘幻の’《ユダヤ劇場壁画》シリーズ7点がすべて出品されています。モスクワの国立ユダヤ劇場の壁面を覆い尽くす作品で、もっとも大きい《ユダヤ劇場への誘い》は横8㍍近い大作です。
《街の上で》は結婚した頃の作品で、シャガールと妻ベラとおぼしき二人が空中を浮遊しています。フワフワと体が浮き上がるような幸福感を味わっていたのだそうです。
多くの作品の中で、愛と信仰を描いています。ヴァイオリンなどのいろいろな楽器の登場する画面からは音楽が聞こえてきそうです。
油彩画のほかにテンペラ・版画・タペストリーに至るまで数多くの作品があり一通り見るのに時間がかかります。
会期は今月25日までです。
主な作品は美術館HPで見ることができます。http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/
« 今日のレーチェ姫 | トップページ | 静岡県立美術館界隈 »
「美術展」カテゴリの記事
- 「渡辺おさむ お菓子の美術館にようこそ」:平野美術館(2021.08.02)
- 「吉田博」展:静岡市美術館(2021.06.25)
- 遠州の民藝展:浜松市美術館(2021.06.18)
- 「みほとけのキセキ」展:浜松市美術館(2021.04.16)
- 浜松市美術館 館蔵品展(2020.12.18)
コメント